貴社はどっち?インクジェットプリンターとレーザープリンター比較

貴社はどっち?インクジェットプリンターとレーザープリンター比較

従来はオフィス用のプリンターと言えば、レーザープリンターが主流でした。しかし、近年は中小企業やSOHOを中心にインクジェットプリンターの導入が進んでいます。

インクジェットプリンターとレーザープリンター、貴社にはどちらのプリンターが向いているのでしょうか?
それぞれの特徴から比較してみましょう。

貴社ならどっち?インクジェットプリンターとレーザープリンター

 

どっち?

 

以前『プリンターの選び方』で述べたように、プリンターには印刷方式によって、主にインクジェットプリンターとレーザープリンターに分けられます。

インクジェットプリンターとは直接インクを用紙に吹き付ける印刷方式のプリンターで、一方のレーザープリンターとはトナーと呼ばれる粉を静電気で紙に付着させる印刷方法のプリンターです。

インクジェットプリンターとレーザープリンターは、それぞれどのような特徴を持ち、オフィスでどのように使い分けると良いのか?幾つかのポイントでチェックしてみましょう。

なお、ここで述べるインクジェットプリンターとレーザープリンタについての説明は、違いを分かりやすくするために、一般的な傾向を比較したもので、メーカーや製品によって異なる場合があります。

印刷速度で選ぶなら

 

速度

 

オフィスにプリンターを導入する際に重視する項目の一つが「印刷速度」でしょう。
日常的に大量の印刷を行うオフィスなら、レーザープリンタの方が適しています。レーザープリンタは出力してからの高速印刷が得意で、同じ書類を何枚も印刷する際に、安定した高速印刷が期待できます。

しかし、ファーストプリント(1枚目が印刷されるまでの時間)の速さではインクジェットプリンターに軍配が上がります。レーザプリンターは、一度出力を始めると速いのですが、待機状態から復帰して印刷を再開するまでに、定着器が一定温度に加熱されるのを待つ必要があるため、ファーストプリントまで30秒ほど掛かることが多々あります。

その点、インクジェットプリンターは、直接インクを吹きつける印刷方法なので、一定温度に加熱するためのウォームアップ時間が必要なく、すばやく印刷を開始できます。

そのため、スペックで印刷速度だけを比較するとレーザープリンターの方が高速に見えてしまいますが、少ない枚数を印刷する場合は、準備時間も含めるとインクジェットプリンターの方が早く印刷を終えることもあります(ただし、インクジェットプリンターの機種によっては、電源を入れると自動的にヘッドクリーニングを行うこともため、クリーニングが終了するまで待たなくてはならない場合もあります)。

 

コピー機G-menより 
印刷枚数やページ数が少ない場合はインクジェットプリンターで印刷し、大量の印刷を行う場合のみレーザープリンターを使うなど、使い分けることで業務効率はアップします。1台のプリンターだけでオフィス全体の印刷を行うのであれば、業務内容や印刷スタイルが重要です。大量の印刷を日常的に行わないオフィスなら、インクジェットプリンターが良いでしょう。

 

印刷の品質で選ぶなら

 

印刷

 

印刷物の品質に関しては、正直なところ、個人によって許容範囲や感じ方が異なります。特に、発色に関しては、好みの問題もあるので、一概にどちらが良いとは言えませんが、主にビジネスシーンにおいて着目されるのは、普通紙に印刷した時の文字とグラフなどの画像の品質です。

レーザープリンターによる印刷は滲み(にじみ)が少なく、文字もくっきり鮮明。一方のインクジェットプリンターは、レーザープリンターに比べて製品によって品質に差があり、使うインクによっても大きく左右されます。

インクジェットプリンターに使われるインクは、大きく分けると顔料インクと染料インクの2種類。
顔料インクは滲みにくく保存性に優れていますが、コストは染料インクより高く、染料インクは色の再現性が高くコスト的に優れているものの、滲みやすく裏写りが発生しやすい欠点があります。

 

インク:顔料インク 出典:日経トレンディネット 水に溶けず、色素が粒子のまま用紙の上に残るインク。 耐水性に優れ滲みにくく、さらに光にも強いため退色しにくい特徴があります。保存に向いているインクと言われており、文書の印刷に最適です。
インク:染料インク 出典:日経トレンディネット 水に溶け、紙の繊維質に浸透するインク。 色の再現性に優れており、光沢や発色性が高いことから写真などに向いていると言われています。ただし、乾きにくく水に滲みやすい欠点もあります。レンタルプリンターでは染料インクを使用している会社が多いですが、ビジネスシーンで使うことを考慮して、顔料インクにこだわっている会社もあります。

 

コピー機G-menより 
普通紙でブラックを主体とした文字の印刷が多いならレーザープリンターがオススメ。写真やカラフルな色を多用するならインクジェットプリンターがオススメです。ただし、先にも述べたように品質や発色に関しては「許容範囲」や「好み」の部分が大きく、レンタルなら無料お試し期間が設定されていることが多いので『使ってみてから決める』のもアリ!でしょう。

 

印刷コストで選ぶなら

 

コスト

 

印刷速度と同様に重要なウェイトを占める印刷コスト。機種にもよりますが、インクジェットプリンターの方が安い傾向にあり、特にカラー印刷では大きな差が生じます。

 

EPSONのプリンターを一例を挙げると…

印刷タイプ 機種名 モノクロ  カラー 
インクジェットプリンター PX-M860F 1枚あたり約1.8円 1枚あたり約6.1円
レーザープリンター LP-M8170 1枚あたり約2.7円 1枚あたり約10.9円

 

モノクロ(白黒)印刷では1枚あたり0.9円の差なので、10枚印刷しても9円、100枚印刷しても90円の差ですが、カラー印刷では1枚あたり4.8円も差があるので、10枚で48円、100枚で480円の差が生じます。

1ヶ月あたり3,000枚の印刷を行うとなると、モノクロ白黒では2,700円、カラーでは14,400円も印刷コストに違いが見られ、さらに消費電力もインクジェットの方が低く、電気代の節約に繋がります。
 

消費電力で選ぶなら

 

 

オフィスのOA機器の中でもレーザープリンターは消費電力が高い機器の一つ。一方、インクジェットプリンターは消費電力が低く、省エネの観点からでも優秀です。

 

EPSONのプリンターを一例を挙げると…

印刷タイプ 機種名 TEC値 スリープモード
インクジェットプリンター PX-M860F 0.6kWh 約2.7W
レーザープリンター LP-M8170 2.9kWh 10W以下

 

TEC値とは、オフィスで使用する1週間の消費電力量の目安にあたる値で、上記の2つの製品を比べると、インクジェットは約5分の1程度の消費電力量で済むことが分かります。

レーザー機種の多くは、このTEC値が2~5kWhであることが一般的で、インクジェット機種の多くが0.3~0.5kWhであることを踏まえると10倍以上もの差が開くこともあります。よって、現在レーザープリンターをお使いのオフィスで、一部または全てのプリンターをインクジェットプリンターに入れ替えるだけでも、かなりの節電効果が期待できます。
 

レンタルプリンターでのコストは?

 

印刷し放題のプランでプリンターをレンタルする場合は、1枚あたりの印刷コストについて考える必要はありません。カウンター料金もなく、インクも使い放題なので、コストについては単純に月額レンタル料金だけで比較をすることができます。

例えば「スリホ」のレンタル料金(印刷し放題のスリホプラン)を一部抜粋すると…

 

インクジェットプリンター レーザープリンター
メーカー名 EPSON brother RICOH Canon
最大用紙サイズ A4 A3 A4 A3
スリホプラン月額料金 12,800円 17,800円 29,800円 39,800円

 

このようにサイズやメーカー(取り扱い機種)によって月額料金は異なるものの、インクジェットプリンターの方が安くなっています。

これは、印刷し放題の「スリホプラン」に限ったことではなく、追加インクが有料になる「ライトプラン」でも同様です。さらにインクジェットプリンターの追加インクは1本2,000円ですが、レーザープリンターの追加トナーは1本6,000円~7,500円で、コスト面では圧倒的にインクジェットプリンターの方が良いことが分かります。
 

寸法・大きさで選ぶなら

 

寸法

 

設置スペースが限られているオフィスにとって、本体の寸法・大きさも重要な項目の一つでしょう。機種にもよりますが、最大用紙サイズが同じで複合機能も同等であるなら、インクジェットプリンターの方が基本的にはコンパクトです。

レーザープリンターは、どうしても4色のトナーと感光体、ドラムを備える構造のため、背丈が高くなりがちで、いろいろと搭載されている分だけ重量的にも重い傾向にあります。一方、インクジェットプリンターはトナーに比べてインクが軽いこともあり、持ち運びや移動が苦にならず、背丈もあまりないため、高さ制限のある場所にも設置しやすい利点があります。
 

音の静かさで選ぶなら

 

静か

 

印刷中の音の大きさについては、ほとんど差がなく、業務用の大型コピー機と比べると静かと言えるでしょう。しかし、待機の状態では少しばかり差があります。

レーザープリンターの多くは、待機時でも20~30デシベルの音が出ます。

20~30デシベルとは?
20デシベル=木の葉が触れ合う音や小さな寝息。
30デシベル=鉛筆での執筆音や小さな囁き声。ちなみに、プリンターが動いている時は50デシベル程度です。
50デシベル=家庭用エアコンの室外機の近く。

 

20~30デシベルなら騒音とは言えないレベルですが、デスクのすぐ横にプリンターを設置した場合、気になる人は気になるかもしれません。それに対して、インクジェットプリンターの待機時は無音。どの機種を選んでも無音なので、小さな音でも集中力を乱される恐れがあるなら、インクジェットプリンターの方が良いでしょう。

また、デスクのすぐ横に設置した場合、レーザープリンターの発熱に悩まされる人もいます。

 

コピー機G-menより 
大量に書類を印刷する機会が多く、レーザープリンターが欠かせないのであれば、なるべくデスクから離れた場所に置くなど、音や熱に対する工夫をしましょう。デスクの近くに置くのであればインクジェットプリンター、離れた場所に設置できるのであればレーザープリンターなど、設置するエリアもプリンター選びには重要なポイントです。

 

耐久性で選ぶなら

 

耐久性

 

インクジェットプリンターとレーザープリンタを比較した際に、違いが顕著な点が耐久です。レーザープリンターは最大150万枚も印刷できる機種があるほど、耐久性に優れていますが、インクジェットプリンターはビジネス用でも数万枚が限度と言われており、家庭用プリンターであれば2万枚が一つの目安とされています。

プリンターの進化が著しい昨今ですが、インクジェットプリンターの耐久性は、まだまだレーザープリンターに及びません。
 

レンタルなら耐久性は無視!

 

以前「プリンターの寿命」の記事でも述べたように、レンタルは故障をしても契約期間中であれば無償で交換してくれるので、インクジェットプリンターの耐久性は気にしなくても大丈夫です。
 

 

印刷速度や耐久性、印刷物で文字の美しさを重視するオフィスならレーザープリンターが向いており、印刷コストや設置スペース、印刷物でカラーの発色を重視するオフィスならインクジェットプリンターが向いています。

レンタルの場合は耐久性は気にしなくて良いので、印刷速度やコスト、印刷の品質で決めましょう。

貴社に最適なプリンターは、どちらですか?

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