コピー機屋さんの営業術

  • 公開日:2018年03月26日

御用聞きがはびこるコピー機営業

御用聞き営業コピー機屋さんの営業とはどんな仕事をしているのでしょうか。結論から言うと、特に大手企業に関してはいわゆる御用聞き営業から抜け出せていないという現状です。御用聞き営業とはソリューション営業などと呼ばれる提案型の営業と比較される営業手法で、さざえさんに出てくる「みかわやさん」をイメージするとわかりやすいと思います。お客さんに必要と思われるものを提案するのではなく、お客さんがが欲しいと言ったものをただ提供するというスタンスです。

モノ余りの現代では御用聞き営業は通用せず、多くの業態の営業はソリューション・提案型営業にうつっています。しかし、コピー機屋さんが御用聞きを続けている理由は何でしょうか。一つは、それでもとりあえず儲かるからです。印刷頻度の減少と競合の激化でマーケットが縮小しているのはコピー機業界でも叫ばれていますが、大手であればあるほどブランド力があるので、営業力がそれほど無くても売れてしまうのです。そして一度売れてしまえば高いランニングコストで回収していきますので、現場がヒイヒイ言っているわりには経営状態は安泰です。

その証拠に、大手コピー機メーカーである富士ゼロックス、キャノン、リコーは製造業の年収ランキングで常に上位の常連企業です。

ソリューション営業を目指すが・・・

大手はブランド力で売れてしまうとはいえ、特に地方を中心に販売が厳しくなっていることは各社の共通認識です。 そこで、コピー機以外の商品もより積極的に扱うようになっています。商品ジャンルとしては、パソコンやサーバーなどのハード系、セキュリティ関連から業務システム、更に研修・コンサルなどといった商品まで「何でも有り」の状態で扱っています。

ですので、例えばキャノン、富士ゼロックス、リコーなどの大手のホームページを見てみると、それほど複合機を全面に出さずに、どちらかという「経営課題の改善」「省エネ」「環境」などのワードが並んでいることがわかります。

コピー機以外に売れない営業マンたち

このように幅広い課題に対する提案をうたっていますが、どの商品・サービスについても現場の営業マンは知識がほとんど無いので、実際に売れているのはパソコンやタブレットなど、商品知識はそれほど無くても売れるようなものばかりで、相変わらずコピーの販売とメンテナンスで食っているという状態です。

実際、2012年度のリコーの決算報告書を見てみると、全体の90%近い売上をコピー機とその関連で上げていることがわかります。逆に言うと、価格破壊が多少起きた程度ではビクともしない盤石な囲い込み戦術に、各社が成功しているということです。