印鑑選びでまず悩むのが素材選びです。象牙や黒水牛、柘、天然石そして、流行のチタンなど印材は豊富にあります。今回は、印鑑の中でも特に実印におすすめの素材をご紹介します。それぞれの素材のメリット・デメリットを解説します。
新人GメンKEICHI
ベテランGメン園川
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印鑑の素材を比較【おすすめの選び方】
まずは、印鑑の素材の選び方を確認しましょう。選び方のポイントは、以下の5つです。
- 耐久性
- 手彫りできる素材
- 朱肉のつきやすさ
- 価格帯
- 開運
耐久性
認印など重要度の低い印鑑なら、多少の耐久性の低さには目をつぶってもいいでしょう。しかし、実印や銀行印、企業の法人印には、耐久性の高い素材を選ぶことをおすすめします。
重要度の高い印鑑の場合、印面の欠けがみられた時点で作り直さなければなりません。余計な手間とお金をかけないためには、耐久性の高い素材を選ぶ必要があります。
印鑑の素材によって、耐久性は異なります。例えば、最近流行の金属製チタンやコバルトクロムモリブデン合金なら耐久性は半永久的ですが、三文判などによく使われるプラスチック素材やゴム印などは変形しやすく耐久性が著しく低い素材です。
また、長期保存に適している素材でも、扱い方や手入れの仕方によって耐久性が低下する場合もあります。印鑑を長く使いたいなら、素材に合ったメンテナンス方法を知り、適切に管理しましょう。素材による耐久性のレベルは以下です。
- チタン・コバルトクロムモリブデン合金
- 象牙・黒水牛・オランダ水牛
- オノオレカンバ・彩樺(さいか)・アグニ・黒彩樺・楓
- 薩摩本柘(さつまほんつげ)・柘(あかね)
- 琥珀・天然石
- プラスチック
手彫りできる素材
実印は、自分の財産を守るためにとても大切な印鑑です。そのため、簡単に偽造されることのない印影である必要があります。印鑑のセキュリティを上げるには様々な方法がありますが、「手彫り印鑑を選ぶ」というのも一つの手段です。
もちろん最近のスキャン技術は進歩しているため、例え手彫りでもある程度の技術・機械があればあっという間に偽造できてしまいます。しかし少なくとも手彫り印鑑なら、三文判でその辺のショップに似たような印影が売っているということはありません。
手彫りできる素材がいいなら、以下の素材はNGです。
- チタン・コバルトクロムモリブデン合金
- 天然石
まず金属系のチタン・コバルトクロムモリブデン合金は、彫刻刀が一切入らないぐらいの硬度を持つため、手彫りは不可能です。天然石は割れやすいため、彫刻刀で細かい印面を製作するのは不可能でしょう。
朱肉のつきやすさ
いくら耐久性の高い素材でも、肝心の朱肉がつきにくく印面が美しくないものは印鑑の素材として適していません。朱肉のつきやすさも印鑑の素材には重要なポイントです。朱肉がつきやすい印鑑の素材の特徴は以下の2点。
- 重みのある素材
- 素材の粒子がきめ細かいもの
捺印する際に力を入れすぎると、力のかかる方向によっては印影にズレが生じます。重みがある印鑑なら力を入れずに捺印できるため、美しい印影を保てます。
また、素材の粒子自体が細かいと、朱肉も印面全体にまんべんなくつくため、結果的に印影は美しくなります。朱肉がつきやすい素材は、以下の順番です。
- チタン・コバルトクロムモリブデン合金
- 象牙
- 黒水牛・オランダ水牛
- 天然石・琥珀・薩摩本柘・柘(あかね)・彩樺など
- プラスチック
価格帯
印鑑の価格を決めるのは、素材だけではありませんが、素材ももちろん価格に影響します。希少性が高いものは価格が高めです。価格が高い順に素材を並べると、以下のようになります。
- 象牙・天然石
- 琥珀
- コバルトクロムモリブデン合金
- チタン
- 黒水牛・オランダ水牛
- 彩樺
- 薩摩本柘
- 柘(あかね)
- プラスチック
ただこれはあくまで一般的な例です。例えば、同じ黒水牛でも芯の入った中心部分と、芯を外した部分とでは値段が大きく違います。下位にある薩摩本柘でも最高級品になると黒水牛に迫る価格帯のものもあります。予算に応じて、納得のいく品質の印材を選ぶことが大切です。
開運
印鑑には「開運」の意味を込める方も多く、印鑑との相性が大切だと言われます。一般的に印鑑の素材で吉相が良いとされるのは以下です。
- 象牙
- 柘植
- 水牛(黒水牛・白水牛)
これらの吉相印には、生まれ年からどの印材を持つと運気が上がるのか占う「九星気学」というものがあります。また、風水では天然石が良いとされます。吉相印について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
ただ、チタンなど最近になって印材として使われるようになった素材は、吉相印として認められていません。吉相印の中に気に入ったものがない場合は、もちろん縛られる必要はありません。
いくら占いで吉と出ても、「なんだか気に入らない」という印鑑を持ち続けることは、運気を下げることにつながります。ぜひ自分が「コレだ!」と思う素材を使って印鑑を作ってください。
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印鑑の素材おすすめ7選
※画像はハンコヤドットコム公式より引用
それでは最後におすすめの印鑑素材をご紹介します。選び方でご紹介した耐久性・朱肉のつきやすさを重視し、さらに人気の定番印材もあわせてピックアップしました。それぞれの素材について
- メリット
- デメリット
- 価格帯
を記載します。なお、価格帯は、通信販売などで実印をつくる場合の相場です。
【印鑑の素材おすすめ1】チタン
金属チタン製印鑑は、クールでスタイリッシュでありながら機能性も抜群なので、人気があります。
※画像は印鑑の匠ドットコム公式より引用
メリット
チタンは、デメリットよりメリットのほうが多い印材です。大変強度が高く耐久性に優れており、水洗いもできます。チタンは、錆びることがなく、熱にも大変強いという性質を持ちます。
また、チタンは粒子が細かいので朱肉のノリも良く、チタン印鑑は重いためキレイに捺印できます。チタンは金属ですが、アレルギーを起こさないことが分かっています。ゴールドやブラックの他、様々にカラーリングすることも可能なので、デザイン性も高く、男女ともに人気の印材です。
デメリット
チタンは比較的新しい印材なので、吉相印ではありません。また、チタンは強度が高く加工し辛い素材のため、手彫りは不可能です。手彫りに近いものを求める場合は、職人さんの手書きの印影を機械に読み込ませて彫るという作業になります。
価格帯
相場は13,000円~16,000円です。ただ、ショップによって価格にはばらつきがあり、下は9,000円~、上は40,000円台のものもありました。
チタン印材について詳しく知りたいという方は、以下の記事も参考にしてください。
【印鑑の素材おすすめ2】黒水牛・オランダ水牛
※画像は印鑑の匠ドットコム公式より引用
水牛の角を加工した印材には、黒水牛とオランダ水牛とがあります。黒水牛は漆黒の印鑑として男性に人気があり、オランダ水牛は別名白水牛とも呼ばれ、柔らかい白が特徴的で女性に人気があります。
メリット
黒水牛もオランダ水牛も、捺印性や耐久性に優れ、見た目にも高級感があります。耐摩耗性は、オランダ水牛のほうがやや上で、オランダ水牛は象牙並みの摩耗のしにくさです。手入れや保管方法には注意が必要ですが、ヒビも入りにくいでしょう。
オランダ水牛は、「ふ」の入り方の違いによって「純白」「色物」に分けられ、バリエーションの豊富さも魅力の一つと言えます。角系印材の中では黒水牛は比較的安価であり、オランダ水牛も象牙よりははるかに安価なので選ばれる方が多いようです。
デメリット
耐久性が高いと言えども、黒水牛もオランダ水牛もタンパク質を主原料としているため、手入れと保管方法には気を付けましょう。特に怖いのは乾燥や虫食いです。
エアコンの風に当てないようにし、直射日光にも気を付けましょう。オリーブオイルなどでたまに手入れをして、印鑑ケースに防虫剤とともに収納することをおすすめします。
価格帯
価格帯は、黒水牛のほうが安価です。黒水牛なら約4,000円ほどで購入できます。オランダ水牛は黒水牛にプラス3,000円の7,000円が相場ですが、「ふ」入りのものなら黒水牛並みの値段で購入できるショップもあります。
ただ芯持ちと呼ばれる最高級品になると、10,000円以上するものも。芯持ちや純白は、希少価値が高いため、価格に反映されます。
黒水牛・オランダ水牛の印鑑について詳しく知りたいという方は、以下の記事も参考にしてください。
【印鑑の素材おすすめ3】彩樺(さいか)
※画像は印鑑の匠ドットコム公式より引用
彩樺(さいか)は、エコ印材として近年注目されています。北方の寒冷地で採れるバーチ材をフェノールレジンと結合させて高圧加熱処理を施し、強度を高めた印材です。
メリット
彩樺は、単一木材よりも強度が高く、耐久性に優れています。茶彩樺や黒彩樺(玄武)、赤採樺(アグニ)と3色のカラーから選べます。いずれも美しい木目が特徴です。安価な価格で販売されているのも魅力でしょう。木材でありながら品質の個体差がない点も安心できます。
デメリット
木製印鑑の代表格である薩摩本柘と比べると捺印性は若干劣ります。ただ、じっくりと比べてみないと分からない程度の差です。
また木製であることには変わらないため、朱肉の染み込みと乾燥には注意しましょう。朱肉が染み込んだままだと、劣化が早まり、印面が欠けます。使用後は必ず朱肉を拭き取り、乾燥を防ぐためにケースに入れて保管しましょう。
価格帯
彩樺は動物角系の印鑑に比べて安価です。相場は4,000円~5,000円程度。中には2,000円台で購入できるショップもあります。木材と樹脂を固めて加工している印材なので、部位による値段の差もありません。
彩樺などのエコ印材について詳しく知りたいという方は、以下の記事も参考にしてください。
【印鑑の素材おすすめ4】薩摩本柘(さつまほんつげ)
古くから印材として愛される柘(つげ)の中でも最高級品と名高いのが薩摩本柘です。
※画像は印鑑の匠ドットコム公式より引用
メリット
薩摩本柘は、木のぬくもりを感じたいという方には最もおすすめの素材です。木目が美しいだけでなく、繊維が非常に緻密なので、朱肉のつきも良いでしょう。薩摩本柘は、木製の印材の中では最も彫刻性に優れています。また、吉相印として開運効果にも期待が持てる素材です。
デメリット
最高級の薩摩本柘でも、経年使用で必ず劣化します。印面から吸い上げた朱肉の油によって、印面がぽろぽろと崩れ落ちます。耐久性を上げるためには、使用後の朱肉の拭き取りが大切です。紫外線にも弱いため、必ずケースに収納しましょう。
価格帯
薩摩本柘の相場は、5,000円~6,000円程度です。中には2,000円台で販売しているショップもありますが、1万円を超える場合もあります。
薩摩本柘を代表とする柘(つげ)印材について詳しく知りたいという方は、以下の記事も参考にしてください。
【印鑑の素材おすすめ5】天然石
風水を気にする方や、女性に人気なのが天然石を使った印鑑です。種類が多く、最も選び方に迷う印材でもあります。
※画像は印鑑の匠ドットコム公式より引用
メリット
天然石にはそれぞれの石に込められた意味があり、風水学的にみると天然石を素材とした印鑑が最良とされます。天然石印材の種類はクリスタルやローズクォーツ、ラピスラズリなど20種を超え、その見た目の美しさにも魅了されます。単純に「美しくて可愛い印鑑がほしい」という方にも人気があります。
デメリット
天然石と一口に言っても、種類が多すぎるため、どれを選んでいいのか迷います。また、どの天然石を選んでも価格は高めです。
さらに石というと「硬い」イメージですが、実は衝撃に弱く欠けやすいため注意しましょう。ちなみに、「天然石の印鑑が欠けてしまった」という場合、「持ち主の代わりになって欠けた」と「良」ととる考え方もあるようです。
価格帯
水晶やラピスラズリなど一般的な天然石の印鑑は、10,000円~20,000円が相場です。石の人気度や希少性によって価格は大きく違います。ちなみに、ルビーなど宝石と呼ばれるものを素材に使った印鑑の中には10万円以上かかるものもあります。
天然石印材について詳しく知りたいという方は、以下の記事も参考にしてください。
【印鑑の素材おすすめ6】琥珀
数千年~数億年前の樹木の樹脂の化石である琥珀は、美しく幻想的な雰囲気を持ち、女性に人気があります。
※画像は印鑑の匠ドットコム公式より引用
メリット
琥珀は、「人魚の涙」「太陽の石」などと呼ばれ、その宝石のような美しさに定評があります。琥珀は、何千年という時の積み重ねによりできた化石であり、神秘的な雰囲気が好まれています。
希少性も高く、この世に2つとして同じ模様や柄のものがないため、所有欲も満たしてくれます。また、開運効果があるとも言われています。
デメリット
印材としては、軽くて脆い点が適していません。脆さを補強するため、一般的には樹脂がプラスされています。使用後は朱肉をしっかりと拭き取り、柔らかい布に包んでケースに収納しましょう。傷もつきやすく落下の衝撃にも弱いため、破損のリスクは常にあります。
価格帯
その希少性の高さから、価格は高めです。中には象牙と並ぶ価格帯のものもあります。琥珀はその時の相場によって価格帯が変動しますが、たいていの場合、1万円以上はかかるでしょう。
琥珀印材について詳しく知りたいという方は、以下の記事も参考にしてください。
【印鑑の素材おすすめ7】象牙
象牙の印鑑は、象の牙を加工しており、「印鑑の王様」と呼ばれる最高級印材です。
メリット
象牙の印鑑は、耐摩耗性に優れ、希少価値も高いため、人気があります。どっしりとした風格を感じさせる印鑑であり、所有欲を満足させてくれるでしょう。捺印性も大変良く、美しい印影を作り出します。吉相印の一つです。
デメリット
ワシントン条約で国際取引が制限されているため、一部のショップでしか手に入れることはできません。そのため、他の印材に比べ、価格も高額です。
耐摩耗性には優れますが、耐久性はそれほど高くありません。象牙は水分を吸収しやすく、乾燥や温度変化にも弱く、取り扱いには注意が必要です。落下衝撃にも弱いので、割れや欠けが起こる可能性もあります。ケースに入れて厳重に保管しましょう。
洗うことはできますが、洗剤の使用は不可です。洗った後は、しっかり水気を拭き取り、日陰で乾燥させましょう。
象牙の取引について詳しく知りたいという方は、以下のサイトを参考にしてください。
価格帯
象牙は高額です。平均相場は23,000円~25,000円。象牙はランクによって価格が異なります。
最高ランクの「日輪」を購入する場合は、実印サイズではない小さいサイズでも70,000円以上することも。日輪は、1本の牙から1~2本の印材しか取れません。外皮層より中心層のほうが目が細かく印材に適していますが、取れる本数が少ないため高額です。
象牙印鑑について詳しく知りたいという方は、以下の記事も参考にしてください。
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まとめ
- 耐久性・手彫り・朱肉のつきやすさ・価格帯・開運の5点で素材を選ぶ
- 【金属製】チタンはデメリットが少なくメリットが多い
- 【動物角形】高価な象牙や黒水牛、オランダ水牛が人気
- 【木製】エコ印材である彩樺(さいか)や薩摩本柘が◯
- 天然石や琥珀も、その美しさから人気