業務用エアコンは、導入費用が家庭用エアコンに比べて高いため、できるだけ寿命を延ばしたいものです。エアコンは通常、使用している環境によって寿命が大きく左右されるほか、メンテナンスをしてるかどうかなどによっても数年寿命が変わってきます。
そこで今回は、業務用エアコンの平均的な寿命や壊れやすくなる原因、買い替えサインなどについてご紹介していきます。また、業務用エアコンを長持ちさせるための秘訣もあわせてご紹介します。
この記事を参考に、業務用エアコンの買い替えやお手入れの参考にしてみてください。
業務用エアコンの寿命
業務用エアコンは、国が定めた耐用年数などを参考に平均寿命をおおよそ予測することができます。また、寿命まであとどのくらいか確認するには製造年などを確認する必要があります。
業務用エアコンの平均寿命
業務用エアコンは、一般的に6年~15年程度の寿命があると言われています。
この寿命は設備やエアコンの種類ごとに年数が異なりますが、本体がビルドインタイプ・ダクトタイプの場合は10年以上、天井埋め込みタイプ、壁掛けタイプ、床置きタイプ、天吊りタイプの場合は6年程度と考えて良いでしょう。
業務用エアコンの寿命は国が定めた耐用年数も参考にすることができます。
製造年の確認をしよう
業務用エアコンは長く使っているといつ購入したのかわからなくなることもあります。
そんなときは、本体や室外機の表示から製造年を確認することもできます。
本体から製造年を確認する場合、エアコンの吹き出し口の下に設計上の標準使用期間が書かれたシールで確認することができます。
また、本体に標準使用期間の書かれたシールが貼られていない場合は、製造年は室外機に書かれていることがあります。外に出て室外機の裏側、側面などを確認してみましょう。
どうしてもわからない場合は、メーカーのホームページで製造年を調べることもできます。品番や型番、製造番号などが分かれば、必要な番号を控えてメーカーに電話で問い合わせて、製造年を教えてもらいましょう。
業務用エアコンが壊れやすくなる原因
業務用エアコンは家庭用エアコンに比べて耐久性が高く高性能ですが、無理な使い方を続けると平均寿命よりも早く故障してしまいます。ここでは、壊れやすくなる原因を4つご紹介します。
①無理な温度設定
業務用エアコンは空調機能が高性能ですが、設定温度と室内温度の差があまりにも激しいとエアコン本体に大きな負担がかかり、故障の原因となってしまいます。
例えば、室内温度に対して設定温度を10℃以上下げるなど、一気に極端に冷房機能を使用すると、本体に大きな負荷がかかります。室内が熱くて設定温度は実温度と5℃以内に保つようにしましょう。
②長時間使用をしない
業務用エアコンは長時間の使用にも耐えるように設計されていますが、まったく使用しない期間が続くと壊れやすくなります。
特に空調を必要としない時期が続くと、久しぶりにスイッチを入れたときに不具合に気づくことがあります。
月に1回程度、点検も兼ねて慣らし運転をすることで、不具合が生じるリスクを減らすことができます。
また、長期間使用しないことでフィルターにホコリがたまりやすくなります。特に、喫煙者のいる家庭では、フィルターに不純物が溜まり、故障を引き起こします。使用しない期間はエアコンにカバーをかけておくと、これらのホコリや汚れを防ぐことができます。
③室外機への負担
室外機に負担をかける使い方をすると、室内機の使い方にかかわらず寿命が短くなってしまいます。
室外機はファンを回して室内機の熱を外に逃がす機能を持っています。この放熱がうまくいかないと、室外機にも室内機にも負担がかかり故障の原因となるのです。
室外機は可能な限り日陰に設置し、周囲に荷物などを置かないように注意しましょう。周囲に荷物などがあると熱がこもりやすくなり、室外機からの放熱がうまいいかなくなります。
室外機を日陰に置けない場合は、風通しのよいすだれなどを利用し、日陰をつくるなど対策が必要になります。
④メンテナンスを怠る
業務用エアコンは家庭用エアコンよりも長時間、強いエネルギーで使用するため、使用中にフィルターもかなりの汚れを吸います。この汚れがたまったまま使用すると、エアコンが効きにくくなり、風量や温度の設定を本体に負荷がかかるほど強めなければならなくなります。
特に、エアコンを使用している夏や冬はこまめにフィルターを掃除する必要があります。2~3週間に1度の頻度でフィルターを掃除するのが理想的です。
また、専門業者に頼んで内部のカビまでしっかり洗浄してもらうのも効果的です。
業務用エアコンの買い替えサイン
ここでは、業務用エアコンの買い替えサインをご紹介します。以下のような状態になったら、買い替えを検討しましょう。
①異音がする
エアコンのスイッチを入れると、いつもとは違う大きな音が聞こえることがあります。エアコン本体の内部や、室外機から聞き慣れない大きな音が聞こえてくる場合は、エアコンの買い替えのサインです。
ガタガタと異音がするのは、室内機の送風ファンや室外機のコンプレッサーの調子が悪い可能性があり、これらの異常が見られるとすぐに使用を中止したほうが良いでしょう。
室内機の場合はフィルターの目詰まりの可能性もありますが、フィルターをチェックしても異常が見られない場合は内部の故障と考え、早めにメーカーに相談しましょう。
②臭いがする
エアコンの臭いのもとは、ホコリや本体の内部に発生するカビです。これらは主にフィルターに付着するため、掃除することである程度改善が見込まれます。
しかし、何度も自分で掃除する手間を考えると、自動クリーニング機能のあるエアコンに買い替えた方が良いこともあります。
また、フィルターの奥のファンや熱交換器の周りにカビが発生している場合は、素人のクリーニングでは対応できなくなります。専門業者にクリーニングを依頼するか、それでも改善が見られない場合は買い替えを検討してみましょう。
③空調機能が弱くなる
エアコンの空調機能が弱くなったと思ったら、まずは設定温度の確認を行いましょう。
次に、フィルターに汚れが詰まっていないか確認しましょう。フィルターにたまったホコリがエアコンの効きを妨げ、本体は作動していても部屋の温度が変わらないということもあります。エアコンが効きにくくなったと感じたら、一度フィルターをクリーニングしたほうが良いでしょう。
次に、外に出て室外機のチェックを行います。室外機に汚れがたまっている場合や周りの荷物が空気の通り道を妨げている場合などは、「放熱フィン」から熱を放出することができず、何らかのトラブルが起こっている可能性があります。
これらの項目をチェックしてもなお改善されない場合は、エアコンの寿命と考え、買い替えを検討した方が良いでしょう。
④水漏れ
室外機やエアコン本体から水漏れが発生する場合も、買い替えサインと考えることができます。
室外機から水が漏れる場合は、ガス漏れも起きている可能性があります。ガス漏れによって結露が発生し、その水が処理しきれずに室外機から水が漏れるという現象がありますが、ガス漏れの原因は配管の劣化による亀裂発生、施工不良、エアコンを移設した際のガス抜けなどさまざまです。特に配管の亀裂が大きい場合、亀裂を完全にふさぐには買い替えをするしかありません。
また、室内機からの水漏れは、ドレンホーというエアコン内部の水を外に出すための排水管の詰まりが原因の場合があります。ほかに、フィルターやフィンに汚れがたまっている場合も、結露が大量に発生し水漏れにつながる場合があります。
これらのパーツを掃除してもまだ水漏れがある場合は、内部の部品に不具合があると考えられます。内部の部品は10年以上経ちメーカー保証期間外になると部品がメーカーにないこともあり、このような場合は買い替えで対応したほうが良いでしょう。
⑤ブレーカーが落ちる
エアコンのスイッチを入れても本体が勝手に運転が停止してしまい、ブレーカーが落ちてしまうことがあります。これはエアコン内部のコンプレッサーの故障が原因です。
コンプレッサーが故障すると、エアコンが正常に動作はしませんが、通電は続いている状態になります。このコンプレッサーの故障は経年劣化によるものがほとんどで、フィルターの掃除などでは改善できないため、エアコン本体の買い替えによって解決するしかありません。
オペレーター 杏奈
業務用エアコンを長持ちさせる方法
業務用エアコンを長持ちさせるには、日々の掃除やメンテナンスが一番ですここでは室内機、室外機のクリーニング、業者によるメンテナンス方法をご紹介します。
①室外機の設置場所
室外機は庭やベランダなど屋外に置かれますが、屋外の環境はたびたび機材にとって好ましくない状況になります。特に夏場、外気温の激しい上昇や強い日差しは室外機の寿命を削る原因となるため、注意が必要です。
また、室外機の周りに物を置いていると、室外機からの放熱が思うように行われないため、故障の原因となります。室外機をなるべく日陰の、周りに物がない場所に設置しましょう。
②室内機のクリーニング
フィルタークリーニングはエアコンの不調を防ぎ、エアコンの寿命を延ばしてくれます。以下にエアコンのクリーニング方法を簡単に紹介します。
フィルターの掃除方法
- フィルターを取り外し、まずはフィルターの表にたまったホコリを掃除機で吸いあげる。
- フィルターの裏から水を流し、歯ブラシなどでこすって汚れを取り除き、べとべとした汚れは中性洗剤を使って洗い流す。
- 掃除が終わったら、日陰で数時間よく乾かす。
ファンの掃除方法
ファンのカビや汚れは、エアコンから出る悪臭の最大の原因です。
ファンの掃除には、ファン専用の洗浄スプレーを使います。これは液だれしないようにムース状になっている洗浄剤で、なじませて付け置いておくと汚れが浮かび上がります。最後にきれいに洗い流して雑巾などで表面を拭いたら完了です。
③専門の業者によるメンテナンス
これらの設置方法の検討や日々のクリーニングは素人だけでは行えない場合もあります。フィルターからファンまですべて掃除するには、時間や体力だけでなく、人でもかかります。特に人手不足の職場では毎月のメンテナンスは難しいかもしれません。
定期的なエアコンクリーニングが難しい場合は、掃除を専門業者にお願いするのもひとつの手です。プロのメンテナンスは確実で短時間で終わるため、トータルでお得になることも多いはずです。
まとめ
- 業務用エアコンの平均寿命は6年~15年
- 無理な温度設定をする、メンテナンスを怠るなどが寿命を縮める原因になる
- 異音、異臭、水漏れなどは業務用エアコンの買い替えサイン
- フィルターやファンの定期的なクリーニングが長持ちの秘訣
- 自力でクリーニングが難しい場合は業者に頼んだほうが良い