業務用エアコンは一般的に家庭用エアコンよりもパワフルで長持ちですが、使用環境やスペックによって買い替え時期は前後します。今回は業務用エアコンの寿命と買い替えるべきタイミングについて詳しくご紹介していきます。
耐用年数とは
耐用年数とは、国が定めた「固定資産が適切に使用できる年数」のことを言います。
耐用年数はあくまで一般的に固定資産が適切に使用できるでろう基準に過ぎないため、これを過ぎたからと言って必ずしもエアコンに不具合が発生するとは限りません。使用環境やメンテナンスが良ければ、耐用年数を数年すぎても適切に動作することもあります。
減価償却資産の耐用年数は平成20年に一度見直しされています。
業務用エアコンの耐用年数は？
業務用エアコンの耐久年数は、①エアコンの設備、②エアコンの種類の主に2つの要素によって異なってきます。それぞれ詳しく見ていきましょう。
①業務用エアコンの設備ごとの耐用年数
業務用エアコンの設備は、以下の3つのパターンに分類され、それぞれで耐用年数が異なります。
- 建物附属設備の一部となっている冷房、暖房、通風又はボイラー設備
- 上記と同様の設備で、冷凍機の出力が22キロワット以下の場合
- 器具及び備品に属する家具、電気機器、ガス機器及び家庭用品
1の場合は、最も業務用エアコンに負荷がかかりにくい設備のため、耐用年数は15年と定められています。2の場合は冷凍機の機能が若干弱い影響で耐用年数は13年となります。3の場合は最も短く6年と定められています。
業務用エアコンは一般的に建物の一部として見なされるため耐用年数は長めですが、3の場合は建物から分離された空調設備と見なされます。
②業務用エアコンの種類ごとの耐用年数
業務用エアコンは、エアコン本体の種類ごとに以下の3パターンに分類されます。
- 本体がビルドインタイプ・ダクトタイプの場合
- 本体がビルドインタイプ・ダクトタイプであり、冷凍機の出力が22キロワット以下の場合
- 天井埋め込みタイプ、壁掛けタイプ、床置きタイプ、天吊りタイプの場合
1のビルドイン・ダクトタイプは最も耐用年数が長く15年、2は冷凍機の出力が弱いことにより13年、3は最も短く6年となっています。
先ほど同様、エアコン本体が建物の一部と見なされるかどうかで耐用年数が大きく変わってきます。
業務用エアコンの寿命
ここまで国が定めるエアコンの耐用年数について解説してきましたが、実際のエアコンの寿命はこれらとは異なります。ここからは、実際の平均的なエアコンの寿命と寿命をできるだけ伸ばす方法についてご紹介します。
①実際の業務用エアコンの寿命
実際の業務用エアコンの寿命は、環境や使用状況によって前後しますが、機器の運転時間10時間/日、2500時間/年と仮定した場合、おおむね6年から15年程度です。
当然、これより長時間エアコンを使用したり、頻繁に入切を繰り返していれば寿命は短くなる傾向にあります。
また、エアコンの設置環境によっても寿命は大きく異なります。外気が入りやすく温度が大幅に変化するような環境の場合、エアコンの空調機能に負荷がかかるため、寿命は平均より短くなる傾向にあります。
②業務用エアコンの寿命を延ばす方法
業務用エアコンは、清掃や定期的なメンテナンスで大きく寿命を延ばすことができます。また、これらは故障の原因を取り除くだけでなく、空調機能や節電などにも効果を発揮するため、定期的に行いましょう。
月に1回は清掃を行う
業務用エアコンの寿命は、普段から定期的な清掃を行うことで大幅に延ばすことができます。業務用エアコンは家庭用エアコンよりも冷房機能が強く、内部の機構も複雑になっていますが、普段のクリーニングであれば業者に頼まずに行うことができます。
業務用エアコンの清掃の目安は1カ月に1回程度です。エアコンの清掃は故障のリスクを下げるだけでなく、中の埃や汚れを取り除くことによって空調機能を向上させるため、節電や素早い空調効果の発揮が期待できます。面倒であっても、月に1回は必ず清掃を行うようにしましょう。
定期的なメンテナンス
定期的なメンテナンスも業務用エアコンには不可欠です。業務用エアコンには業者による定期的なメンテナンスが義務付けられていますが、自主点検でも部品の破損や修理箇所の早期発見にも繋がるケースがあります。
修理代を惜しんだり、業務が忙しいことを理由にメンテナンスを怠ると、耐用年数よりも早く故障してしまい、かえって損をしてしまいます。不明な点があればメーカーのカスタマーサポートが受けられるので、面倒くさがらずに定期的にチェックしましょう。
業務用エアコンの買い替え時期
業務用エアコンは長ければ15年ほど使えるものもありますが、メーカー保証は10年となっているところがほとんどです。この場合、10年を過ぎるとメーカーからの部品の交換修理などのサポートが受けられなくなってしまいます。
メーカのサポートがないと自主点検で不明点があっても解決が難しい場合も多く、本来の空調機能を発揮できないまま使用し続けると余計に電力がかかるなどデメリットも生じてきます。
業務用エアコンの買い替えはメーカー保証が切れる時期に合わせておくとスムーズです。買い替えの際は、メーカーに既存のエアコンの問題点やストレスに感じたことなどを伝えておくと良いでしょう。また、使用場所の環境も細かく伝えておくと適切な業務用エアコンを判断してくれます。
オペレーター 杏奈
まとめ
- 業務用エアコンには国が定めた耐用年数がある
- 業務用エアコンの耐用年数は6~15年
- 業務用エアコンの耐用年数は設備やエアコンの種類で異なる
- 耐用年数と実際の寿命は異なる
- 買い替え時期はメーカー保証の切れる時期に合わせると良い
