【リコー経営危機】リコーに不採用で泣いていた友人へ手紙「内定もらえなくて良かったね」

【リコー経営危機】リコーに不採用で泣いていた友人へ手紙「内定もらえなくて良かったね」

M君、お元気にしていますか。

2012年、大学院の卒業を控えた就職活動のさなか、君は困った顔で僕の前に現れたね。

「リコーに技術職で入りたかったんだけど、最終面接で落ちちゃった・・・」

空調関係の会社に就職した君は、充実した日々を送っていると君のお母さんから聞いてホッとしているよ。そんな忙しい君は、この記事を読んだかな?

複合機依存のリコーは過去最大の危機

リコーが創業以来、最大の危機に直面している。主力の複合機市場が縮小する一方、世界に張り巡らした販売網の高コスト体質の是正が遅れ、巨額赤字に転落しかねない状況 ”日経新聞17/6/8 リコー、浮上への自己否定 利益出ない商談いらぬ”

要するに、コピー機が売れないのにコピー機の売上に大きく依存しているリコーの経営状態がヤバいらしいんだ。

事務機器は企業のコスト削減やペーパーレス化で需要が縮小、利益率の高いトナーなど消耗品の販売も低迷が続く。厳しい収益環境が改善する見込みはない。”日経新聞同記事より”

しかもこれまで複合機に依存し続けたせいで、複合機以外に儲かりそうな仕事がさっぱり見当たらないらしいんだ。

複合機など事務機器以外で成長事業が見当たらないことだ。中期経営計画でも産業用の高速デジタル印刷機事業ぐらいで、確実に収益を稼げるかは不透明。 ”日経新聞同記事より”

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君が恋焦がれたかつての「優良企業」は、想像力と変革力の無さで今や見る影もない状態になりつつあるみたいなんだ。

 

一方、かつての君のように就職活動に勤しんでいる学生や株主に向けては、こんなメッセージを送っているよ。

imagine. change.

リコーのブランドメッセージより

 

過去の実績に依存して変革を起こせないでいる会社が「想像」と「変革」を力強くうたっているんだから、ユーモアのある会社だよね。

ちなみに、あるカウンセラーが言っていたことだけど、人は自分に「足りないもの」を多く口にするんだそうだよ。愛情に飢えた子どもは「愛」という言葉を語り、友達が居ない子どもは「友達」と・・・。

 

君が就職していたらクビにはならなかっただろうね、でも

話が逸れてしまったね。企業にとっての最大のコストは何と言っても人件費らしいんだ。これからリコーはあらゆる手を使って人員を削減していくだろうね。まずは新卒採用数を絞って早期退職の募集、それから退職勧告に近い退職者の募集、それでも足りなければいわゆる「リストラ」ってやつをすると思うけど、大々的にニュースになるような人員調整は最後の手段になるだろうね。

もし君がこの会社に勤めて複合機を作っていたらどうなっただろう。若い人はクビにされにくいから、30歳の君はまだしばらくは職を失わずに済んだだろう。でも会社の業績が下がっているから給料もボーナスも増えず、衰退事業の技術なんて他社もそんなに欲しくもないから転職市場での価値も低い。50歳までリコーにいたら、君は親父と同じくピザも届かないような田舎に家を建てることになるんだろうね。

 

君の友達には、未だに複合機メーカーで売れない機械を作り続けている人がたくさんいるんだってね。みんなにはよろしく言っておいてよ。20~30代というこれからの仕事の基礎を作る年代に、衰退産業に関わって時間をすり減らすなんてやんちゃだね、って。

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