新人Gメン及川
ベテランGメン園川
本記事では、電話でのカスハラへの対応手順や警告文例、社内マニュアルに必要な項目を解説します。
電話のカスハラ対応マニュアル|判断から通話終了までの流れ

顧客からの不満や苦情が、すべてカスハラに当たるわけではありません。まずは相手の話をしっかり聞き、何が起きたのか、何を求めているのかを整理します。
そのうえで、暴言や不当な要求が続く場合は、通常のクレーム対応から、警告や上司への交代を含むカスハラ対応へ切り替えます。
厚生労働省では、職場におけるカスタマーハラスメントを、次の3要件をすべて満たすものと定義しています。
▼職場におけるカスハラの3要件
- 顧客等による言動である
- 社会通念上許容される範囲を超えている
- 労働者の就業環境が害される
電話やSNSなど、対面以外で行われる言動も対象です。詳しい定義や事業主に求められる措置は、厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」で確認できます。
電話対応では、相手の言動に応じて、通常対応を続けるのか、警告や上司への交代へ進むのかを判断します。
| 区分 | 相手の状態・言動 | 対応 |
|---|---|---|
| 通常対応 | 不満や強い口調はあるものの、会話が成立している | 相手の話を聞き、事実と要求を確認して対応する |
| 警告・上司相談 | 暴言、人格否定、不当な要求、同じ要求の繰り返し、長時間拘束などがある | 問題となる言動を警告し、改善しなければ上司へ報告・交代する |
| 対応中止・緊急対応 | 危害を加える旨の発言や著しい脅迫があり、身の危険を感じる | 通常の手順を省略し、安全確保、上司への報告、警察に相談する |
具体的な対応の流れは、次のとおりです。

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カスハラ電話を切る基準
カスハラ電話を切るまでの通話時間や説明回数は、法律で「何分まで」「何回まで」と一律に決められているわけではありません。相手の言動、対応時間、説明の繰り返し回数、通常業務への影響などを踏まえて判断します。
次のような状況では、上司への交代や通話終了を検討しましょう。
▼電話を切ることを検討する基準
- 暴言や人格否定が警告後も続いている
- 対応できない理由を説明しても不当な要求が続く
- 十分に説明しても同じやり取りが続いて話が進まない
- 長時間の拘束によって通常業務に支障が出ている
- 脅迫や身の危険を感じる発言がある
現場で判断がばらつかないよう、会社として時間や回数の目安も決めておきましょう。たとえば、「通話が30分を超えたら上司へ報告する」「同じ説明を3回行なっても進展しなければ対応終了を予告する」などです。
ただし、設定した時間を超えたら必ず電話を切るという意味ではありません。相手の話が進んでいる場合は対応を続け、短時間でも暴言や脅迫があれば、警告や通話終了へ進みます。
カスハラ電話への警告文例
原則として、何も伝えずに突然電話を切るのではなく、問題となっている言動を指摘し、注意→警告→最終通告の順で対応します。
| 段階・場面 | 相手へ伝える文例 |
|---|---|
| 注意する | 恐れ入りますが、そのような言葉遣いはお控えください。 |
| 対応終了を警告する | 同様の発言が続く場合は、お電話を終了させていただきます。 |
| 最終通告する | 先ほどお願いしましたが、同様の発言が続いておりますので、お電話を終了いたします。 |
| 同じ説明が続いている | ご案内できる内容は、先ほどお伝えしたとおりです。これ以上は同じ説明の繰り返しとなるため、本日の対応を終了させていただきます。 |
| 要求に対応できない | ご要望については承りましたが、弊社では対応いたしかねます。 |
| 上司へ交代する | これ以上は私の判断でお答えできないため、責任者と代わります。 |
| 折り返し対応にする | この場では回答できないため、社内で確認のうえ、担当者から改めてご連絡いたします。 |
| 脅迫を受けた | 危害を加える旨の発言がありましたので、この通話を終了いたします。 |
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電話を切ったあとに行うこと
電話を切って終わりにすると、同じ相手から再び電話があった際、別の担当者が最初から対応することになります。通話終了後は次の項目を確認し、状況に応じて対応しましょう。
| 対応 | 行うこと |
|---|---|
| 上司への報告・記録 | 通話内容や警告した回数、電話を切った理由などを上司へ報告し、記録と録音データを保存する |
| 次回の対応方針を決定 | 対応する責任者や部署を決め、必要に応じて窓口を一本化する |
| 従業員のケア | 対応した従業員の状態を確認し、休憩や担当変更、相談窓口の案内などを行なう |
| 警察・弁護士への相談 | 脅迫や執拗な電話など、自社だけでの対応が難しい場合は外部へ相談する |
▼対応記録に残す項目
- 電話を受けた日時と通話時間
- 相手の氏名・会社名・電話番号
- 相手の主張と要求
- 暴言や脅迫などの具体的な発言
- 会社側が回答した内容
- 注意・警告した内容と回数
- 上司へ報告・交代した時刻
- 電話を切った理由
- 録音データの有無と保存先
- 次回の対応方針
責任者や特定部署へ窓口を一本化し、過去の対応内容を確認できる状態にしておきましょう。担当者を次々と代えると、同じ説明を繰り返すため、従業員の負担も増えます。
通話終了後は、従業員の心身の状態も確認します。強い恐怖や不調がある場合は、電話対応から一時的に外す、休憩を取らせる、社内外の相談窓口を案内するなどの配慮が必要です。
危害を加える旨の発言や繰り返しの脅迫、執拗な電話などがある場合は、社内だけで解決しようとせず、警察や弁護士へ相談しましょう。緊急の危険がある場合は110番、緊急性はないものの対応に困っている場合は、警察相談専用電話「#9110」が利用できます。
通話録音で電話のカスハラに備える
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オペレーター 杏奈
- 顧客と担当者の発言を後から確認できる
- 管理者へ正確に状況を共有できる
- 担当者の対応に問題がなかったか確認できる
- 警察や弁護士へ相談するときの資料にできる
- 録音告知による暴言の抑止が期待できる
ベテランGメン園川
現在の電話設備に録音機能を追加したい場合は、「ビジネスフォンに録音機能を外付けする方法|後付け機器・費用・注意点」、電話設備の入れ替えを検討している場合は「通話録音できるビジネスフォンを比較|自動録音・録音告知対応機種と費用」も参考にしてください。
なお、カスハラ対策で通話を録音する場合も、録音の告知や相手の同意が一律に必要なわけではありません。告知・同意の考え方や、録音データが個人情報に当たる場合の管理方法については、「通話録音の告知義務はある?同意は必要?個人情報の取り扱い方を解説」で詳しく解説しています。
電話のカスハラ対応マニュアルに盛り込む項目
ここまで解説した内容をもとに、自社のマニュアルに次の項目を盛り込みましょう。
- 一次対応者が判断・回答できる範囲
- 上司へ報告・交代する基準
- 注意・警告・最終通告の文言
- 電話を切る時間・回数・言動の基準
- 緊急時の報告先と警察・弁護士などの相談先
- 同じ相手から再び電話があった場合の対応窓口
- 通話録音と対応記録の保存・利用ルール
- 対応した従業員へのフォロー方法
- 研修の実施方法とマニュアルの見直し時期
自社のマニュアルを作成・見直す際は、厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル(令和8年度改訂版)」を活用できます。事業主に求められる措置や具体的な対応例が掲載されています。
法律上求められる措置については、厚生労働省の「職場におけるハラスメントの防止のために」に掲載されている最新の指針やリーフレットもあわせて確認してください。
まとめ
- 電話のカスハラ対応を担当者一人に任せない
- まずは相手の話を聞き、事実と要求を整理する
- 暴言や不当な要求が続く場合は、会社の基準に沿って警告・上司への交代・通話終了へ進む
- 脅迫や身の危険を感じる場合は、会話の継続よりも従業員の安全を優先する
- 通話終了後は録音データと対応記録を保存し、再び電話があった場合の対応方針を共有する
ベテランGメン園川