新人Gメン及川
ベテランGメン園川
本記事では、通話録音に関する告知・同意の考え方、個人情報の取り扱い、録音アナウンスを導入する際の確認事項を解説します。
通話録音に告知義務はなく、同意も原則不要

個人情報保護法上、顧客との通話を録音していることを伝えたり、録音について個別に同意を得たりすることは、一律に義務付けられていません。カスハラ対策として録音する場合も同様です。
ただし、通話内容が個人情報に当たる場合は、録音データの利用目的を本人へ通知するか、公表する必要があります。相手から録音の有無をたずねられた場合は、事実に沿って回答しましょう。
新人Gメン及川
ベテランGメン園川
録音の告知・同意・利用目的の通知または公表について整理します。
| 項目 | 内容 | 基本的な考え方 |
|---|---|---|
| 録音の告知 | 「この通話は録音しています」と伝えること | 法律上一律の義務ではない |
| 録音への同意 | 「録音してもよいですか」と承諾を求めること | 原則として個別に承諾を得る必要はない |
| 利用目的の通知・公表 | 録音データを何のために利用するのか示すこと | 録音内容が個人情報に当たる場合は必要 |
- 個人情報保護委員会「顧客との電話の通話内容は個人情報に該当しますか」
通話内容が個人情報に該当する条件や、録音していることを相手へ伝える義務の有無について確認できます。 - 厚生労働省「ハラスメント防止措置義務規定等における解釈事項について」問10・問11
カスハラの事実確認に録音データを利用する場合の利用目的や、顧客への告知について確認できます。
オペレーター 杏奈
電話の録音データが個人情報に当たる場合の対応方法
新人Gメン及川
オペレーター 杏奈
- 個人情報に該当する録音を確認する
- 録音データの利用目的を定める
- 利用目的を本人へ通知または公表する
- 閲覧できる人と保存期間を決める
- クラウドサービスや委託先の管理体制を確認する
- 外部提供や本人からの請求への対応を決める
個人情報に該当する録音データを確認する
新人Gメン及川
オペレーター 杏奈
| 録音データの状態 | 個人情報への該当 |
|---|---|
| 氏名・電話番号・顧客番号などから個人を識別できる | 個人情報に該当する |
| 録音と顧客情報を照合すると個人を識別できる | 個人情報に該当する |
| 匿名の問い合わせで、着信番号や会話内容からも個人を識別できない | 基本的には個人情報に該当しない |
| 音声から本人認証用の特徴データを作成する | 個人識別符号に該当し、それ単体で個人情報になる場合がある |
※詳しくは、個人情報保護委員会の「通話内容から特定の個人を識別できない場合の録音記録」を参照
録音データの利用目的を具体的に定める
個人情報を取得するときは、利用目的をできる限り具体的に定める必要があります。通話録音を導入する前に、録音データを何に使うのか整理しましょう。
- 電話応対の品質向上
- 通話内容の確認
- 問い合わせや苦情への対応
- トラブルの事実確認
- カスタマーハラスメントへの対応
- 従業員の教育や研修
実際にはカスハラの事実確認にも使用するのに、利用目的を「電話応対の品質向上」だけに限定していると、定めた目的と実際の使い方が一致しません。
実際にカスハラ電話を受けた際の対応手順や警告文例、電話を切る基準については、「電話のカスハラ対応マニュアル」で詳しく解説しています。
利用目的を本人に通知するか、公表する
新人Gメン及川
オペレーター 杏奈
利用目的をプライバシーポリシーで公表する
通話録音の利用目的を公表する場合は、自社サイトのプライバシーポリシーなどに記載し、顧客が確認できる状態にしておきます。
オペレーター 杏奈
プライバシーポリシーへの記載例は以下の通りです。
当社では、電話応対の品質向上、通話内容の確認、問い合わせや苦情への対応、トラブルおよびカスタマーハラスメントの事実確認を目的として、お客様との通話を録音する場合があります。録音データは、これらの目的に必要な範囲で利用し、適切に管理します。
利用目的を電話録音アナウンスで通知する
プライバシーポリシーなどで利用目的を公表する代わりに、通話開始時の録音アナウンスで本人へ通知する方法もあります。アナウンスで利用目的を通知する場合は、「この通話は録音されています」と告知するだけでなく、何のために録音するのかも伝えましょう。
通話内容の確認、問い合わせや苦情への対応、トラブルの事実確認のため、この通話を録音しております。
オペレーター 杏奈
電話応対の品質向上および通話内容の確認のため、この通話を録音しております。
録音データを閲覧できる人と保存期間を決める
録音データを氏名や電話番号、日時などから検索できるよう体系的に管理している場合は、個人情報保護法上の「個人データ」に該当し、安全管理措置などが必要になります。
録音データを社内の誰もが検索・再生できる状態にすると、目的外の利用や情報漏えいにつながるおそれがあります。担当者、責任者、法務担当者など、業務上必要な人だけが閲覧できるように権限を設定しましょう。
録音データをダウンロードできる場合は、保存先や社外への持ち出しについてもルールを決めます。
- 録音を検索・再生できる人
- 録音をダウンロードできる人
- ID・パスワードの管理方法
- 操作履歴を確認する方法
- 録音データの保存先
- 録音データの保存期間
- 保存期間を過ぎた録音の削除方法
- 情報漏えいが発生した場合の報告先
録音データの保存期間は、利用目的やトラブルが判明するまでの期間などを踏まえて決めます。必要がなくなった録音データは、社内ルールに沿って削除しましょう。
クラウド保存や外部委託の安全性を確認する
録音データをクラウドへ保存する場合は、サービス提供会社の管理体制も確認します。
- データが保存される場所
- 通信時・保存時の暗号化
- アクセス制限
- 操作履歴の保存
- バックアップ
- 障害や情報漏えいが起きた場合の対応
- 契約終了後の録音データの削除方法
- サービス提供会社によるデータの利用範囲
外部の事業者へ録音データの保存や管理を委託する場合は、契約内容を確認し、委託先でも録音データが適切に管理されるよう監督します。
外部提供や本人からの請求への対応を決める
録音データを警察、弁護士、保険会社、取引先などの社外へ提供する可能性がある場合は、誰が提供の可否を判断するのか決めておきましょう。
個人データを第三者へ提供する場合は、原則として、あらかじめ本人の同意が必要です。ただし、法令に基づく場合や、人の生命・身体・財産を守るために必要で、本人の同意を得ることが困難な場合などは、同意を得ずに提供できることがあります。
警察や弁護士への提供であっても、常に無条件で提供できるとは限りません。担当者が独断で録音データを渡さず、提供先、利用目的、照会の根拠、第三者提供に当たるかどうかを確認したうえで判断しましょう。
※第三者提供について詳しくは、個人情報保護委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」3-6「個人データの第三者への提供」を参照してください。
また、録音データが「保有個人データ」に該当する場合、本人による開示請求の対象です。録音にひも付けた顧客情報などに事実と異なる内容があると、訂正等を請求されることがあります。法律上の要件を満たす場合は、利用停止・消去などの請求対象にもなります。
請求を受けたからといって、その場ですべてに応じたり、録音データの削除を約束したりする必要はありません。本人確認を行ない、対象となる録音データや請求内容、法律上の要件を確認して対応します。
請求を受け付ける窓口、本人確認の方法、社内の判断責任者、回答方法をあらかじめ決めておきましょう。
※開示・訂正・利用停止等について詳しくは、同ガイドラインの3-8「保有個人データに関する事項の公表等、開示等」を参照してください。
ベテランGメン園川
よくある質問
通話相手から録音を拒否されたら、録音を停止する必要がありますか?
個人情報保護法上、相手から録音を拒否されたという理由だけで、必ず停止する義務が生じるわけではありません。
ただし、録音を拒否された場合の対応は、あらかじめ会社で決めておきましょう。録音を停止できる場合は停止する、録音の目的を説明して対応を続ける、停止できない場合はメールや問い合わせフォームを案内するなどの方法があります。
担当者がその場で録音データの削除を約束せず、録音機器の仕様や社内の個人情報保護方針に沿って対応します。
※個人情報保護法上の録音告知に関する考え方は、個人情報保護委員会の「顧客との電話の通話内容は個人情報に該当しますか」を参照してください。
録音データの削除や利用停止を求められたら、必ず応じる必要がありますか?
請求を受けたからといって、必ず録音データを削除・利用停止しなければならないわけではありません。
録音データが「保有個人データ」に当たるか、利用停止や消去を求める法令上の要件を満たしているかを確認して対応します。担当者がその場で削除を約束せず、本人確認を行なったうえで、社内の担当部署や責任者へ引き継ぎましょう。
※詳しくは、個人情報保護委員会の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」3-8-5を参照してください。
通話録音やカスハラについて、公的な情報はどこで確認できますか?
通話録音の告知義務や個人情報の取り扱い、カスハラ対策について確認するときは、個人情報保護委員会、厚生労働省、e-Gov法令検索が公開している一次情報を参照してください。
目的別の主な確認先は、次のとおりです。
▼通話録音・個人情報に関する一次情報
■通話内容が個人情報に当たるか、録音の告知義務があるか知りたい
個人情報保護委員会「顧客との電話の通話内容は個人情報に該当しますか」
■個人を識別できない録音や、本人認証用の音声データについて知りたい
個人情報保護委員会「通話内容から特定の個人を識別できない場合の録音記録」
■利用目的、安全管理、委託先の監督、第三者提供、本人からの請求について知りたい
個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」
■個人情報保護法の条文を確認したい
e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」
▼カスハラ対策に関する一次情報
■カスハラ対策の義務化、最新の指針やリーフレットを確認したい
厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
■カスハラの事実確認に通話録音を利用する場合の考え方を知りたい
厚生労働省「ハラスメント防止措置義務規定等における解釈事項について」の問10・問11
■企業向けのカスハラ対策マニュアルや業種別資料を探したい
厚生労働省「あかるい職場応援団・資料ダウンロード」
「あかるい職場応援団」に掲載されている従来の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」や一部のリーフレットは、雇用管理上の措置を義務付ける法改正の成立前に作成されています。
実際に社内ルールやマニュアルを作るときは、従来の企業マニュアルだけで判断せず、厚生労働省が公開している最新の指針やリーフレットもあわせて確認してください。
現在の電話機に録音告知アナウンスを追加する方法
録音の告知や個人情報の取り扱い方を決めたら、現在の電話設備で通話録音と録音告知アナウンスを利用できるか確認しましょう。
新人Gメン及川
オペレーター 杏奈
| 導入方法 | 向いているケース | 確認事項 |
|---|---|---|
| ビジネスフォンの内蔵機能を使う | 現在の主装置が通話録音や録音告知に対応している | 必要なユニット、ライセンス、設定工事の有無 |
| 録音装置を後付けする | 現在の電話設備を残して録音機能を追加したい | 回線や電話機との接続可否、録音できる通話数 |
| 録音対応のビジネスフォンやクラウドサービスへ切り替える | 複数拠点や多数の通話をまとめて管理したい | 月額料金、保存期間、管理画面、既存番号の継続可否 |
現在の電話設備を残したまま録音機能を追加したい場合は、ビジネスフォンに録音機能を外付けする方法も参考にしてください。また、ビジネスフォンの入れ替えも検討している場合は、「通話録音できるビジネスフォンを比較|自動録音・録音告知対応機種と費用」で、録音機能や録音告知に対応する機種を比較しています。
録音だけできる機器と、録音前のアナウンスまで流せる機器は異なります。相談する際は、現在使用しているビジネスフォン・主装置・回線の種類と、録音したい電話機の台数を伝えましょう。
ベテランGメン園川
まとめ|通話録音は利用目的と管理ルールを決めて導入しよう
個人情報保護法上、通話録音の告知や個別の同意が一律に義務付けられているわけではありません。ただし、録音内容が個人情報に当たる場合は、利用目的を本人へ通知するか、公表する必要があります。
また、録音データを検索できる状態で管理する場合は、閲覧権限や保存期間、削除、外部提供などのルールも必要です。
録音を始める前に、次の3点を確認しておきましょう。
- 録音データの利用目的を定め、通知または公表する
- 閲覧・保存・削除などの管理ルールを決める
- 外部提供や本人から請求を受けた場合の対応を決める
現在の電話設備に録音機能や録音告知アナウンスを追加できるか分からない場合は、ビジフォンGメンへご相談ください。