オフィス移転費用相場
オフィス移転は、計画〜移転完了まで半年以上の時間がかかる大プロジェクト。オフィスの移転には、膨大な費用がかかります。
規模が大きく、従業員人数が多い企業ほど、オフィスの移転費用は膨大になるでしょう。オフィスの移転を計画する段階で、ある程度費用を予測しておく必要があります。
そこでオフィス移転にかかる費用の目安として、工程ごとの相場を整理して順番に解説します。
ベテランGメン園川
オフィス移転費用内訳
- 退去にかかる費用
- 引っ越しにかかる費用
- 新オフィス契約費用
- 新オフィス設備費用
- 諸経費・その他
上記6項目にかかる費用が、オフィス移転に伴って発生する主なものです。今回は、上記6項目を以下のようにさらに細かく分類し、それぞれの費用相場をお伝えします。
▼退去にかかる費用
- 原状回復費用
- 廃棄物処理費
- 賃料
▼引っ越しにかかる費用
- 引っ越し作業費
▼新オフィス契約費用
- 敷金
- 礼金
- 仲介手数料
- 保証会社加入料
- 前賃料
- 火災保険費
▼新オフィス設備費用
- 内装工事費
- 設備・通信工事費
- 美品・家具購入費
▼諸経費・その他
- 届出書類の作成費用
- 告知・印刷物作成費用
それでは順番に解説していきます。
退去にかかる費用
まずは、オフィスを退去する際にかかる費用について解説します。
- 原状回復費用
- 廃棄物処理費
- 賃料
オフィスを移転する際に、旧オフィスを入居前の元の状態に戻さなくてはいけません。このための作業のことを「原状回復」と言います。
例えば、入居する際に施した内装工事や、オフィスを利用している間に経年劣化した壁や床も修繕する必要があります。
オフィスの原状回復工事にかかる費用は、50坪以下の小規模オフィスで坪単価3万円〜5万円ほどになり、この費用はオフィスを借りている側がほぼ100%負担する義務があります。
ただし、オフィスの原状回復工事費用は、オフィスの利用状況や立地によってさまざまなので、ここで紹介する費用はあくまで目安として捉えてください。
原状回復工事をする業者は、オフィスの管理会社が指定していることが多いので、事前に確認してみましょう。
また、旧オフィスを退去する際には「原状回復工事費用」だけではなく「不用品・廃棄物処理費」や「賃料」もかかる場合があります。
それぞれの相場を表にまとめましたのでご覧ください。
項目 | 相場 |
---|---|
原状回復費用 |
|
不用品・廃棄物処理費 |
|
賃料 | 契約内容による |
100坪を超える大規模オフィスでは原状回復費用だけで1,000万円を超える予算が必要になることもあります。
オフィス移転の際は、新オフィスにかかる費用ばかりではなく、必ず退去時にかかる費用にも目を向けて企画しましょう。
引っ越し費用
自分たちで引っ越し作業を行ってしまえば、引越し費用がかかることはありません。しかし、引っ越し作業に時間がかかるあまり、通常の業務の効率を落としてしまっては意味がありません。とくに、従業員人数の多いオフィスの移転には引越し業者は必須です。
引っ越し作業を業者に依頼する際にかかる費用は、下記を参考にしてください。
項目 | 相場 |
---|---|
引越し作業費 | 3万円程度/日(作業員一人につき) |
ここでは、作業員一人にかかる一日あたりの相場を紹介しましたが、業者によっては「時間制」や「距離制」で費用を提示してくる場合もあります。
また、引っ越し作業費用は、作業内容によって金額が大きく変わることもあります。
例えば、旧オフィスのフロアが2階以上で、荷物搬入出用のエレベーターがない場合は、階段を使って荷物の搬出を行わなければならず、負担の大きい作業となるので、費用は高くなるでしょう。
また、搬入出用のエレベーターに乗りきらないほど大きな荷物の搬出が伴う場合は、クレーンを使って窓から搬出する必要があるため、追加料金がかかる場合もあります。
つまり引っ越し作業費用は
- 何人の作業員が必要か
- どのくらい時間がかかるか
- どんな作業をするか
を踏まえて算出することになります。
「どの業者にお願いしたらいいか」「結局いくらかかるのか」詳しく知りたい方は、是非当サイトへお問い合わせください。
新オフィス契約費用
賃貸マンションを契約する時と同様に、新オフィスを契約する際には、さまざまな費用が発生します。
まずは、新オフィス契約時にかかる費用を一覧でご覧ください。
▼新オフィス契約時にかかる費用
項目 | 相場 |
---|---|
敷金 |
|
礼金 | 賃料1〜2ヶ月分 |
仲介手数料 | 賃料1ヶ月分程度 |
保証会社加入料 | 賃料1ヶ月分程度 |
前賃料 | 入居月および翌月分 |
火災保険料 | 2万円/2年間〜 |
上記6項目は、新オフィスの契約時に支払うことが一般的なので前もってかかる費用として計算しておきましょう。
なお、敷金は賃料の4~6カ月分程度で、礼金は1~2カ月分、仲介手数料・前家賃は賃料の1カ月分の費用がかかり、火災保険料はフロア面積を元に算出されるのが一般的です。
仲介業者によっては、仲介手数料が半額や無料になるキャンペーンを実施していることもありますので、詳しくはお問合せください。
新オフィス設備費用
新オフィスの設備には内装工事や通信設備の工事、デスク周りなどの備品や家具の購入など、さまざまな費用が必要になります。
新オフィスの設備費用は、オフィス移転において最も費用がかかる項目なので、じっくり検討する必要があります。しかし、せっかくなら旧オフィスよりも設備を充実させたいものです。オフィスの設備の満足度は、従業員のモチベーションにも影響するでしょう。
新オフィス設備にかかる費用は、以下を参考にしてください。
▼新オフィス設備にかかる費用
項目 | 相場 |
---|---|
内装工事費 | 30万円~/坪 |
設備・通信工事費 | 10万円~/坪 |
備品・家具購入費 | 15万円程度/名 |
「内装工事費」と「設備・通信工事費」を合計すると、1坪あたり25~40万円の費用が必要となることが多いようです。
【事例】従業員40名、会議室付きの60~70坪オフィスへ移転する場合
例えば、従業員が40名程度の企業が、会議室付きのオフィスへと移転する場合、60坪〜70坪程度の敷地が必要ですが、その場合には1,500~2,800万円程度の費用が発生することになります。
また、その他に備品や家具の購入に、15万円×40名で600万円の費用が必要という計算です。
新オフィスのレイアウトによっては金額が異なりますが、従業員人数の多い企業の場合は数千万円の費用がかかることがほとんどです。
諸経費・その他
オフィスを移転する際には、退去や引っ越し以外にも、会社の住所が変更することに伴って、さまざまな手続きが必要になります。
例えば、オフィスを移転したことを取引先や顧客へお知らせしたり、名刺やパンフレット、ホームページに記載している住所の訂正もしなくてはいけません。
また、社会保険事務所、法務局、税務署などへ提出する各種書類の作成には専門知識が必要になるため、行政書士などに依頼することが多いようです。
参考までに「届出書類の作成費用」と「広告・告知・印刷物作成費用」の相場を紹介します。
▼オフィス移転に伴う各種届出通知費用の相場
項目 | 相場 |
---|---|
届出書類の作成費用 | 10万円〜 |
広告・告知・印刷物作成費用 | 2万円程度/名 |
もちろん、オフィス移転には上記以外にも細かい諸経費がかかります。それらを全て予測することは難しいですが、引越し業者によっては旧オフィス退去〜新オフィス入居までをワンストップで請け負ってくれるところもあります。
その場合は、事前にオフィス移転全体の概算見積もりを取ることもできるでしょう。
しかし、ネットで調べても費用については複雑に書かれていて「どの業者に頼めばいいか分からない」と感じるかもしれません。そんな方はぜひ当サイトへお問い合わせください。
当サイトでは、お客様の状況に合わせて最適な引越し業者選びをサポートします。
オフィス移転コストを削減したい!
これまでオフィス移転にかかる費用を紹介しました。会社の規模によっては数千万円以上かかる大プロジェクトになるため、簡単に実行できるものではありません。
しかし、オフィス移転コストを削減することができればどうでしょうか。ここからは、オフィス移転コストを削減する以下の3つの方法について解説します。コスト面でオフィスの移転を迷われている方は、ぜひ参考にしてください。
- 相見積もりを取る
- 居抜きオフィスを利用する
- セットアップオフィスを利用する
相見積もり
オフィス移転は原状回復工事、引っ越し作業、内装設備工事など業者に依頼する工程が多くあります。
その全てをワンストップで行ってくれる業者もありますが、同じ作業内容でも依頼する業者によって金額やサービスが異なります。
そのため、複数の業者から見積もりを取り、それぞれを比較することは非常に重要です。
見積もりを取る際には、他の業者からも見積もりをとっていることをそれぞれの業者に伝えましょう。金額を下げて提案してもらえるかもしれません。
居抜きオフィスを利用する
居抜きオフィスとは、前のテナントが利用していた設備や家具をそのまま流用できるオフィスのことです。
通常、オフィスを退去する際、入居前の状態に原状回復することを義務付けられています。居抜きオフィスでは、前の利用者から原状回復の義務を引き継ぐ代わりに、レイアウトや内装設備を流用します。
オフィス移転の中で最も費用のかかる「新オフィス設備費用」を抑えることができるので、オフィス移転コストを削減する手段としては非常に有効です。
また、居抜きオフィスを利用する場合は、移転にかかる時間や労力を削減することにもなります。
ただし、居抜きオフィスを利用する場合は、利用する家具や設備が中古品になりますので必要に応じて追加工事や家具の購入が必要になることもあります。
セットアップオフィスを利用する
セットアップオフィスとは、オフィスの管理側で内装やオフィス家具の一部を用意し、すぐに利用できる状態にして貸し出すスタイルのオフィスのことです。
居抜きオフィスを利用する場合と同じく、「新オフィス設備費用」を大幅に削減できます。
さらに居抜きオフィスとは違い、家具や設備は新品を利用できることがほとんどです。そのためオフィス移転にかかる時間や労力はさらに削減できるでしょう。
ただし
- 内装の自由度がそれほど高くない
- 内装工事などにかかる費用が賃料に反映されているため賃料が高い
といったデメリットもあります。
オフィス移転に補助金を使える?
事業の拡大や継承、結合などオフィスを移転する理由が明確であれば、補助金の対象になります。膨大な費用のかかるオフィス移転も、補助金が出れば非常に心強いものです。
ただし、補助金のほとんどは後払い制となっているため「先にもらえるもの」と勘違いしないように注意してください。
また、補助金は企業の所得として課税対象になる場合があります。また、補助金の種類によっては適用条件が複雑なものもありますので、事前に要領をよく確認しておく必要があります。
オフィス移転に利用できる可能性がある補助金の例として、以下の4つを紹介するので参考にしてみてください。
- ものづくり補助金
- 事業継承補助金
- キャリアアップ助成金
1.ものづくり補助金
ものづくり補助金は、中小企業が生産性向上のためにする投資を補助する補助金です。業務効率や生産性が向上することが条件になるので注意してください。
生産性向上を図ってオフィス移転を行う場合であれば、利用できる可能性は高いでしょう。
利用した事例や詳細、公募要領についてはものづくり補助金総合サイトを確認してみてください。
2.事業継承補助金
中小企業庁が管轄の、事業の継承や再編、結合などを行う中小企業向けの補助金制度です。ただし事業に何も変化がなく、ただオフィスを移転するだけの場合は対象とならない可能性が高い、と言えます。
何か新しいことにチャレンジしたい中小企業を応援する補助金になりますので、オフィスの移転に伴って事業の変化を予定している場合に利用しましょう。
中小企業庁のホームページで毎年公募要領が更新されていますので、詳細についてはそちらをご覧ください。
3.キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、厚生労働省が管轄する助成金制度で下記の7つのコースがあります。
正社員化支援 | 正社員化コース | 有期雇用労働者等を正規雇用労働者に転換又は直接雇用 |
---|---|---|
障害者正社員化コース | 障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換 詳細はこちら |
|
処遇改善支援 | 賃金規定等改定コース | 有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を改定し2%以上増額 |
賃金規定等共通化コース | 有期雇用労働者等と正規雇用労働者との共通の賃金規定等を新たに規定・適用 | |
賞与・退職金制度導入コース | 有期雇用労働者等を対象に賞与・退職金制度を導入し支給又は積立てを実施 | |
選択的適用拡大導入時処遇改善コース | 選択的適用拡大の導入に伴い、短時間労働者の意向を大切に把握し、被用者保険の適用と働き方の見直しに反映させるための取組の実施 | |
短時間労働者労働時間延長コース | 有期雇用労働者等の週所定労働時間を3時間以上延長し、社会保険を適用 |
参照:厚生労働省公式サイト
キャリアアップ助成金は、非正規労働者の正規雇用など従業員の労働環境の改善を目的とした助成金制度なので、上記の項目のうちどれかを目的としたオフィス移転であれば利用できる可能性があります。
まとめ
今回はオフィス移転に伴って発生する費用の相場について解説しました。
- 【退去にかかる費用】原状回復費用(3万円~)+不用品処理費用(7万円~)+賃料
- 【引越し費用】3万円/日(作業員1人につき)
- 【新オフィス契約費用】敷金+礼金+仲介手数料+保証会社加入料+前賃料+火災保険料
- 【新オフィス設備費用】内装工事費(30万円~/坪)+設備通信工事費(10万円~/坪)+備品・家具購入費(15万円程度/人)
- 【諸経費・その他】各種届出に関する費用
- 相見積もりを取る
- 居抜きオフィスを利用する
- セットアップオフィスを利用する
- 補助金を利用する
オフィス移転にかかる費用は旧オフィスの退去〜新オフィスへの入居まで様々な工程で費用と時間がかかる大プロジェクトです。
企画段階である程度の費用感を掴んでおかなければ、せっかく時間をかけて企画しても頓挫してしまうこともあります。
本記事で紹介した相場はあくまでも目安ですが、試算する際の参考となれば幸いです。