新人Gメン及川
ベテランGメン園川
新人Gメン及川
ベテランGメン園川
複合機のエンジニアをしています、sakuraです。さて、2019年7月9日付の日本経済新聞の記事に、こんなものを見つけました。
リコーが挑む「禁じ手」 複合機一本足から脱却へ https://t.co/HSwWmg4OzE
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) July 8, 2019
リコーの「複合機一本足からの脱却」……実は、複合機メーカーの複合機依存からの脱却は、近年どのメーカーも命題になっています。今回は、複合機メーカーが今後どうなっていくのか、リコーの記事を読み解きながら解説していきたいと思います。
【リコー】”RICHO Smart Integration”が担う複合機のソフトウェアの提供
複合機は売らない時代!? ”RICOH Always Current Technology”
今回の記事でまず取り上げられていたのは、「ハードとソフトの分離」ということです。複合機は機種によってそれぞれソフトが作られているのですが、それを一本化し、さらに更新もできるようにするというのです。例えば、新しいサービスができれば、そのサービスを使えるようにソフトを更新すれば、今使っている複合機で最新のサービスを利用できちゃうわけです。今までは複合機本体を買い替えるしかなかったのに、その必要がなくなります。これは、ユーザーにとっては嬉しいですよね。
これまでは、現行機にない機能を使いたい場合、その機能が搭載された機種に買い換えなければいけませんでした。しかし、RICOH Always Current Technologyが搭載された機種なら、購入時に搭載されていなかった最新機能を、ネットワーク経由で追加することが可能です。追加できる機能は、随時更新されていきます。
引用:RICOH Always Current Technology | リコー
このサービスによって、複合機を入れ替える理由が少なくなるため、複合機本体の買い替えサイクルが8年に延びるとリコーは見込んでいます。現状が4年ということなので、リコーにとってはその分減収になります。その補填をするのが、ソフトの販売というわけです。
複合機をソフトを使う端末に ”RICHO Smart Integration”
RICHO Smart Integrationは、社内外のアプリを複合機やパソコン、タブレットなどで一元的に利用することができるようにするサービスです。例えば、名刺管理のアプリなどを提供しているようです。これは、複合機で名刺をスキャンし、ユーザーが持つスマートフォンなどの端末で閲覧や管理ができるようにするものです。
これにより、リコーは複合機というハードを販売する会社から、複合機を含めたサービスを提供する会社へと変化としているようです。
リコーの多角化戦略は始まっている ”RICOH Intelligent WorkCore ICT Plus”
リコーと言えば複合機のメーカーでしたが、ここ数年(2010年代後半)は、複合機そのもののCMより、ICTソリューションに力を入れていることをうかがわせるCMを多く目にしてきました。その中でリコーが提供しているのが、ビジネスホンやネットワークなどのサービスを提供するRICOH Intelligent WorkCore ICT Plusです。
RICOH Intelligent WorkCore ICT Plus(アイ・シー・ティー・プラス)は、これからのオフィスインフラとなる「リコー新世代複合機とICT・ネットワーク」を組み合わせて一括提供する新サービスです。クラウド、インターネット接続、セキュリティ強化、モバイル連携など、お客様のさまざまなICT課題にお応えします。ハード・ソフトのすべてをリコーが一元受付しますので、万一の障害発生時にもサポート窓口が一つで手間なく安心。お客様の業務プロセスと生産性の変革をバックアップします。
引用:RICOH Intelligent WorkCore ICT Plus | リコー
RICOH Intelligent WorkCore ICT Plusのようなサービスは、実は他社も展開し始めています。そう、このICTソリューションを取り入れた複合機のサービスの提供こそ、今複合機メーカー業界がこぞって乗り出している新たなフィールドなのです。
複合機メーカーの新たなフィールド「ICTソリューション」
そもそもICTソリューションとは、ICT(情報通信技術)を活用し、企業の問題を解決するという意味です。なぜ、複合機メーカーがこのICTソリューションの分野に参入したのでしょうか。
複合機あるところにICTあり
私がこの話をユーザーなどに説明する時に決まって言うセリフがあります。
「コピー機があれば、パソコンが必ず繋がっていますよね。それなら、パソコンを直せるようになればお役立ちできますよね。パソコンが治せるようになれば、いつ買い替えたほうがいいかわかりますよね。それなら、販売もできますよね。こういう流れで、コピー機屋さんがパソコンを売るようになったんです。」
……という感じです。私自身、まさにコピー機を直しながらお客様にICTソリューションを提供する業務をさせていただいている張本人なのです。
今や、当たり前のように複合機には様々なネットワーク機器が繋がっています。その複合機がどのように使われているかによって、お客様の普段の行動やお困りごとが実はエンジニアや複合機メーカーの営業にはよく見えています。その知識を使って、お客様のICTのお困りごとを解決できるのではないかというのが、昨今の複合機メーカーがICTソリューションに手を付ける理由のひとつだと思っています。
各社のICTソリューションサービス
調べてみましたが、本当に様々なサービスがあり、どれを取り上げたらいいのか悩んでしまいましたが、一例をあげたいと思います。
- コニカミノルタ IT-Guardians
- 富士ゼロックス IT環境運用支援サービス
- キャノン 中小オフィス向けIT支援サービス HOME
複合機メーカーでは様々なソリューションサービスを、様々な業種に向けて展開しています。複合機を中心とした、オフィスの何でも屋さんになることが、複合機メーカーが見出した現状の打開策のひとつであることは間違いないです。
【まとめ】複合機メーカーからICTソリューションメーカーへ
リコーを中心とした、複合機メーカーのICTソリューションメーカーへの変化について取り上げました。実際、私も複合機メーカーのエンジニアとして会社に入社したものの、パソコンを直せるようになるように言われ、パソコンを売れるようになるように言われ……今では、複合機を直している時間に対して、ユーザーのオフィスでのお困りごとをヒアリングしたり、パソコンのトラブルの修復をしたりする時間が、割合として多くなってきています。カウンター料金で稼げなくなり、複合機本体が売れなくなり、そんな時代の中で会社も模索していることをひしひしと感じる今日この頃なのです。