【コピー機営業の仰天実話】「お客様、これはサーバーでは無いようですが」事件

【コピー機営業の仰天実話】「お客様、これはサーバーでは無いようですが」事件

複合機販売店の多くは「上昇志向は豊かだが倫理に乏しい」人間の巣窟で、そんな集団は顧客に対して信じられない詐欺行為までやってのけます。これは実在する事件なので、名前はすべて仮称を使い、商品等もボカしています。

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サービスマン田中の衝撃と機転

田中は複合機メーカーの広島支店に勤務するサービススタッフで、複合機だけでなくPCやシステムなどの保守業務を担当しています。2020年、田中は担当するお客様である小山田商事からネットワークに関するトラブルで相談を受け、担当であり窓口の由紀恵社長を訪問しました。

小山田商事には複合機だけでなくPCやサーバーも自社からご購入頂いていますが、納品しているはずのサーバーが社屋に見当たらず、由紀恵社長に質問しました。

客「ここにあるじゃろう。」

広島弁でにこやかに指さされたのは、どう見てもサーバーではありません。

ただのネットワークハブです。彼は一瞬目を疑ったものの、察しが良い田中は事態をすべて悟りました。

(種田のやつ、やりやがったな・・・。)

種田とは小山田商事を担当している営業で、売上数字が未達でいつも上司から怒鳴られている男です。

ではお客さんがサーバーだと思って使っているフォルダは何なのか調べたところ、共有のノートパソコンのフォルダが指定されているだけでした。

 

 

営業マン種田の焦りと機転

大手メーカーで営業に従事する種田は予算の未達状況に焦っていました。今月もこのまま進めば未達は必至です。

事件発覚の1年前のこの日、種田は訪問先の小山田商事から複合機の入れ替えと併せてPCとサーバーの注文を入手出来ました。窓口で3代目の由紀恵社長はIT知識に極めて疎く、商品選びは全て自分の言いなりになってくれる「良い客」です。

(この金のなる木から、もっと巻き上げる方法は無いか・・・)

本来はもっと高額で売りつけたいところですが小山田商事はこれ以上の金額ではリース審査が通らないでしょう。

今回の小山田商事からの注文にはサーバーが含まれていますが、例えば仮にノートPCをサーバーとして納品した場合、どうなるでしょうか?

 

他の従業員も由紀恵さん同様ほとんどが50代以上の「IT」と聞いただけで驚いた魚のように逃げ出すようなメンバーで、サポートへの内容も90%が「PCを再起動すれば解決する」トラブルです。

(PCでも、十分にサーバーだと言い張れる・・・)

しかし、70万円で購入したサーバーがノートPCの見た目だった場合、さすがの由紀恵さんも不自然に思うでしょう。何か彼女がその用途を理解出来ないような、仕入れが安く存在感がある商品は無いか・・・。

 

 

存在感の力不足感は否めませんが、彼女の自分への信仰心が補ってくれるでしょう。これなら仕入れ価格は2,000円ほどなので、サーバー70万円の売上のうち698,000円を粗利として計算出来ます。すると今月の予算は達成出来るので、ひとまず課長からの罵声もトーンダウンさせられます。

(これで、行くしか無い)

納品時には多少気がかりだったものの由紀恵さんは気づくことはなく、「サーバー」が問題なく使える環境を作ってくれた種田をますます信頼してくれるようになりました。

 

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サービスマンが社内に告発

その後サービスマンの田中が会社に報告することで種田はポジションを失いますが、本当に怖いのはここからです。

種田は当然処分を受け、グループの別会社に出向になった一方でお客様はどうなったかと言うと、社内の全員一致で

「見てみぬフリ」

が決まったそうです。お客様は今後もハブをサーバーとして拝み続けることに迷いはなく、事実を伝えてしまうと大事になって訴訟沙汰になりかねず、社内の誰にとっても「面倒なことになるだけ」です。

むしろ会社はお客様への謝罪返金はせずに利益を得たまま種田を減給させることに成功したので、「会社の利益を最大化する」ことに成功したと言えます。

 

 

犯人は誰か

我々はこのような事件を知った時

「種田や上司がよほどの悪人だったんだな」

と考えたくなりますが、実際には同じ立場であれば誰もがこのような詐欺行為を働き、また社内でもみ消す可能性が有ると言えると思います。それはどちらかと言えば自分が善人だと思っている私も、貴方もです。

  • 営業の極端な利益追求
  • お客さんが特定の営業に情報を依存

の2つが合致した場合、同様の詐欺行為は令和になっても無くなることはないでしょう。

種田は場合によっては刑務所で規則正しい生活を送っていても仕方の無いところ、今は別会社への出向を終えて元のポジションで規則正しく課長に叱られる日々を送っているのだとか。

そんな種田の姿を見た若い後輩は「絶対に妙な売り方はしないぞ」と思うか「あれだけのことをやっても、会社は自分を守ってくれるんだ」と思うか、果たしてどちらでしょうか。

 

* * *

 

これは地方の中小販売店で起きたことではなく、誰もが名前を知る巨大メーカー(富士フイルム、リコー、キヤノンあたり)が起こした事件です。ということは、中小の販売店の営業なら尚更起こり得ると考えた方が良いでしょう。

お客様は出入りの業者だけに情報を依存せず、他の会社にも相見積りを含めて提案をもらいましょう。御社が信用しているその営業は、貴方の幸せにはさして興味は無いので、いつでも種田に生まれ変わることが出来ます。

 

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