複合機を購入した場合とリース契約した場合で、それぞれ勘定科目はどのように処理すれば良いのでしょうか。
購入の場合
取得価額が10万円未満の場合 | 消耗品費 |
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取得価額が10万円以上の場合 | 工具器具備品 |
※中小企業等の特例を利用した場合、取得金額が30万円未満で消耗品処理が可能
取得価額が10万円未満の場合は、税法上、少額減価償却資産として購入時に一括して損金処理することができますので、勘定科目は「消耗品費」として購入時に一括で費用計上します。
一方、取得価額が10万円以上の場合は、購入時に資産計上し、耐用年数(5年)で減価償却をすることとなるため、勘定科目は「工具器具備品」として資産計上します。
この場合は、購入時に全額を経費として計上することはできず、資産として5年かけて減価償却(資産価値を減らして費用計上)します。
Gメン
◆中小企業等の特例とは◆
対象となるのは、青色申告法人である中小企業者又は農業協同組合等で、常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人です。2020年3月31日までに取得し、取得金額が30万円未満である場合は取得価額の全額をその年に損金処理することができます。この場合、特例の適用をうけることができる金額は合計300万円が限度となります。
勘定科目は購入時には「工具器具備品」として資産計上し、決算時に同額を「減価償却費」として費用計上します。購入時に「消耗品費」として費用計上すれば決算時の仕訳は不要ですが、この特例が1年度に300万円が限度ということと、通常の減価償却処理をする資産と同様、固定資産税の対象となることから、「消耗品費」として計上した場合でも別途金額などは把握しておく必要があります。
ファイナンスリースの場合
取得時 | リース資産 |
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リース料支払い時 |
リース債務 |
ファイナンスリースには「所有権移転外ファイナンスリース」と「所有権移転ファイナンスリース」があり、どちらも取得時に複合機の購入金額を「リース資産」として資産計上します。なお、金利はリース資産には含めず、支払い時に「支払利息」として費用計上します。
所有権移転ファイナンスリースの場合は、リース期間が満了した後その品物をもらうことができる(=所有権が移転する)ので、お金を借りて購入したときと同じ処理をします。
したがって、取得時には「リース資産」として計上し、支払い時に金利を除く月額を「リース債務」として費用計上しますが、減価償却費は購入と同じように算出することとなります。
一方、リース期間が満了した場合には品物を返却することとなる「所有権移転外ファイナンスリース」の場合は、取得時に「リース資産」、支払い時に「リース債務」を計上するのですが、「リース資産定額法」により減価償却するため、リース資産総額をリース期間で月割りにしてその事業年度の月数分を「減価償却費」として費用計上することとなります。
※利息の計上方法については、一定の場合、利息を含めた金額をリース料相当額として計上したり、利息相当額を定額で費用計上する方法が認められる場合があります。
◆所有権移転外リースの特例◆
借主が中小企業でリース契約1件あたりの金額が300万円未満の場合は賃貸借処理が認められています。
この場合、取得時の資産計上は必要なく、リース料支払い時に支払金額を「リース料」として費用計上することができます。
Gメン
カウンター料金・トナー代など
複合機を導入すると、カウンター料金またはトナー代、保守料などが必要になります。このような支出は複合機を使用するために必要な費用ですので、コピー用紙などと同様に「消耗品費」として費用計上します。保守料については故障した時の修理代金であるため「修繕費」で計上する場合もあります。
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