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3Dプリンター購入時に使える補助金制度「ものづくり補助金」とは
ものづくり補助金の正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」。
ものづくり補助金の交付規定で、補助金交付の目的と対象について次のように定められています。
独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「中小機構」という。)が中小企業生産性革命推進事業の一環として実施する当補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、生産性向上を目的として中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を実施する者に対して、事業費等に要する経費の一部を補助する事業(以下「補助事業」という。)を行うことにより、中小企業者等が行う設備投資等に対して即効的な需要を喚起するとともに、生産性向上を促進し経済活性化を実現することを目的とする。
簡単に要約すると、このようになります。
補助金の用途:生産性向上を目的とした設備投資等(革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善)
設備投資の内容は、革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善と定義されているので、3Dプリンターやスキャナーは要件に合致します。
申請の手続きなど書類の作成は多少面倒ですが、採択されれば100万〜1,250万円ほどの補助金をもらえることもあります。要件を満たす事業者の方は、3Dプリンター購入時にものづくり補助金の申請をする価値はあるでしょう。
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ものづくり補助金の対象は中小企業者または小規模事業者
ものづくり補助金は誰でも申請できるものではありません。中小企業生産性革命推進事業としての補助金なので、対象となる事業者には制限が設けられています。
対象となる中小企業者とは
ものづくり補助金の対象は、法律で定められた「中小企業者」または「小規模事業者」に該当する者です。大企業や、みなし大企業に該当する場合は対象外になってしまいますのでご注意ください。さらに、以下の要件を満たす事業計画(3〜5年)を策定・実施していなくてはなりません。
- 付加価値額:+3%以上/年
- 給与支給総額:+1.5%以上/年
- 事業場内最低賃金:地域別最低賃金+30円
特定の組合やNPO法人も、要件を満たせば対象となる場合があります。詳しくは「ものづくり補助金総合サイト」をご覧ください。
対象外となってしまう事業者
中小企業に該当しても、以下の要件に該当する場合は対象外となってしまいますのでご注意ください。
- 応募締切日前10ヶ月以内に、令和元年度補正・令和二年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業(以下、同一事業とします。)の交付決定を受けた事業者及び応募締切日時点で同一事業の補助事業実績報告書を未提出の事業者
- 過去3年間に、2回以上、類似の補助金*の交付決定を受けた事業者
- 公募開始時点において、確定している(申告済みの)直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える事業者
- 次の(1)~(5)のいずれかに該当する事業者(みなし大企業)
- (1)発行済株式の総数又は出資価格の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業者
- (2)発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業者
- (3)大企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
- (4)発行済株式の総数又は出資価格の総額を(1)~(3)に該当する中小企業者が所有している中小企業者
- (5)(1)~(3)に該当する中小企業者の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の全てを占めている中小企業者
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ものづくり補助金でもらえるのは経費の1/2または2/3
ものづくり補助金でもらえる補助金額には、従業員数ごとに上限が定められています。
▼ものづくり補助金(通常枠)の支給額の上限
従業員規模 | 補助上限金額 | 補助率 |
5人以下 | 750万円以内 | 中小企業:1/2以内 小規模事業者、再生事業者:2/3以内 |
6人〜20人 | 1,000万円以内 | |
21人以上 | 1,250万円以内 |
※出典:「令和元年度補正・令和三年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(11次締切分)」
さらに単価50万円(税抜)以上の設備投資がマストとなっています。補助の対象となるのは、機械装置・システム構築費、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費です。
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ものづくり補助金の申請方法
ものづくり補助金の申請をするためには、5〜8種類の書類を作成しなくてはなりません。電子申請の手続きや事業計画書の作成など、完成までに時間がかかるものも多いので余裕をもって書類の作成に取り掛かるのがおすすめです。
受付は電子申請システムのみ
ものづくり補助金の応募申請は電子申請となっています。電子申請システムを利用するためには、事前にGビズIDプライムアカウントを取得しなければなりません。余裕を持って準備を進めましょう。
印鑑証明書と登録印鑑で押印した申請書を郵送で申請することでアカウントを発行できます。必要書類の郵送からアカウント発行まで1〜2週間程度かかります。
必要書類
ものづくり補助金に申請するためには以下の書類が必要です。
- 事業計画書
- 賃金引き上げの誓約書
- 決算書等
- 従業員数の確認資料
- 労働者名簿
採択される可能性を上げるためには、審査で加点項目となる要件を満たすことが重要となってきます。加点に必要な資料は次の通りです。
- 経営革新計画承認書(成長性加点)
- (連携)事業継続力強化計画認定書(災害等加点)
- 特定適用事業所該当通知書(賃上げ加点)
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審査期間
ものづくり補助金は、令和2年に公募開始してから通年で公募を行なっています。令和4年度は応募期間を約2か月、審査期間を約1か月として、6月・9月・12月・3月の四半期ごとに採択発表をすると予定されています。
申請が採択されることが決まったらそれで終わりではなく、補助金を受け取るための交付申請もしなくてはなりません。交付申請のおよそ1ヶ月後に事務局で交付決定が行われます。事業者が補助事業を実施できるのは、事務局から交付決定の連絡を受けてから最大10ヶ月間です。
審査項目
ものづくり補助金の支給の目的は「生産性の向上」です。申請書類では「3Dプリンターを導入することによって自社の生産性・従業員・産業全体にどのような利益をもたらすことができるか」を重点的に書くと良いでしょう。
具体的な審査項目のうち、3Dプリンター導入に関連する内容は以下の通りです。
- 新製品・新サービスの革新的な開発になっているか?
- 試作品・サービスモデル等の開発における課題が明確になっているか?目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか?
- 課題を3Dプリンターで解決することは妥当か?優位性が見込まれるか?
- 3Dプリンター事業のための技術的能力が備わっているか?
- 最近の財務状況や、社内外の体制(人材、専門的知見など)から、事業を適切に遂行できそうか?
- 市場のニーズを検証できているか?3Dプリンターで作る試作品・最終製品のマーケット及び市場規模が明確か?
- 3Dプリンターで作る試作品・最終製品は価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化の方法やスケジュールは妥当か?
- 3Dプリンター導入による費用対効果は高いか?
- ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などで差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか?
- 単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取り組むことにより、高い生産性向上が期待できるか?
- 先端的なデジタル技術の活用などを通じて、我が国のイノベーションを牽引しうるか?
3Dプリンター購入での申請で採択されるためのポイント
ものづくり補助金の審査では4つの加点項目が設定されています。
- 成長性加点
- 政策加点
- 災害等加点
- 賃上げ加点等
これら加点項目については、ものづくり補助金に関する公式HPで公開されておりますので、ライバルとなる他企業もこれらの項目を満たして加点を狙っていると考えて間違いないでしょう。ものづくり補助金の採択倍率はおよそ2〜3倍と言われています。確実に採択されるためには、これらの加点項目を可能な限り満たしておきたいところです。
さらに、具体的な数字で表すことも採択アップのポイント。3Dプリンターを使うことで得られる効果、必要な経費、賃上げの目標額などを定量的に示すことで採択される可能性が高まります。
【最新】ものづくり補助金2022
2022年(令和4年度)のものづくり補助金のうち、11次締切分の申請受付が5月12日に開始しています。11次締切分の申請締切は8/18(木)の17時です。12次締切に関する正式な情報はまだ公開されていませんが、8月末頃に申請受付が始まることが予想されます。
申請締切から交付決定まで半年以上かかりますので、2022年中に3Dプリンターを導入したい場合、11次締切分に間に合わせなくてはなりません。
3Dプリンター取り扱い会社のなかには、補助金受給申請の支援サービスをしている企業もあります。書類の準備が間に合わない・何をどう書いたら良いか分からないという場合は、相談してみてはいかがでしょうか。
まとめ
- ものづくり補助金は、法律で定められた中小企業者または小規模事業者のみが申請できる
- 受け取れる金額は100万円〜1,250万円。上限額は会社の規模によって決定される
- ものづくり補助金の申請のためには5〜8種類の書類を準備しなくてはならない
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