関西の郊外にある、営業30名ほどのOA機器販売店から聞いた独自の営業手法をご紹介します。複合機のテレアポ営業が頭打ちになった営業チームが、たどり着いたのはなんと「コピー用紙」を切り口にした緻密なテレアポ作戦でした。
* * *
「コピー機・・・」と口にした瞬間にガチャ切り
企業のサイズや地域を問わず複合機のテレアポが20年以上に渡ってやりつくされているため、最近では
- パソコン
- 電気料金削減
- セキュリティ
- ネットワーク
など販売店は手を変え品を変えテレアポに取り組んでいます。
なかには、NTTと誤認させるような手法も横行しており、電話のクチコミサイトでは、トップ、FTコミュニケーション、日本メディアシステムなどが2025年時点でも実践していることがわかります。
裏道をゆけ。有りそうで無かったドアノック
この販売店では初回商談での販売は一切狙わず、まずは「口座開設」だけに絞ってテレアポを続けたそうです。複数商材を使ってテストを重ねた結果、たどり着いたのがコピー用紙でした。
コピー用紙はどの会社でも使っていますし、何より価格が安いので警戒心を持たれにくいようです。しかも、コスト削減に関心の高い企業ほど反応が良いんです。
と営業責任者は話してくれました。
ベテランGメン園川
新人Gメン及川
コピー用紙が“フィルター”になる理由
コピー用紙が武器になる理由は
- 売り込まれた経験が少なく、ガードがゆるい
- 多くの企業が既に使っている
- 反応が良い会社は経費削減需要が強いと判断できる
- 印刷枚数が多い企業なら複合機のコスト削減需要があると判断できる
- 印刷関連のヒアリングがしやすい(印刷枚数、サイズ、用途)
このように、コピー用紙を扱うことで、効率的に“良質な見込み客”にリーチできるのです。
ターゲットは企業規模30~50人
当該販売店の経験では、この規模感がもっともアポが取りやすく販売にもつながりやすいとのことでした。
30人以下の企業△
30人以下の社長
営業
従業員30人以下の企業ではこのように社長の一存で購入が決まりやすい傾向が有り、それゆえに営業会社から執拗に攻められている傾向があるため、地域によっては「アポが取れにくくなっている」のだそうです。
50人以上の会社△
このサイズの会社は「テレアポ営業とは会わない」というルールが社内で決められていたり、またアポが取れたとしても購入時の相見積もりが制度化されているなど、決済まで時間がかかる上に受注できても利幅が取りにくい傾向があるそうです。
30~50人以下の企業◎
つまり「営業からそれほど狙われておらず、社内制度がまだ整っていない規模感」が狙い目だというわけです。この規模感であれば相見積もりに対するチェックは厳しくないようで、購買担当と仲良くなってしまえば仲が良い販売店の見積を勝手に使わせてもらう「相見積もりごっこ」も可能なケースも多いようです。
しかし零細企業のように社長の一声で決まるケースは稀なので、利幅はそれほど取らず「既存機が極端に高いケースでなければ1台粗利20~30万円しか狙わない」とのことでした。エリアは訪問可能なところに売らないと意味がないので(理由は後述)車で1時間以内がターゲットです。
【実績】アポ率3%、受注率15%
「用紙ドアノック」を実践している営業チームの実績は
- アポ率:約3%(電話接続数に対するアポ取得件数)
- アポ後の口座開設:20%
- 口座開設後の複合機販売:約70〜80%
通電100件あたり0.5件程度、複合機が売れている計算です。通電率を20%と見ると1,000件の架電で0.9件の受注です。
重いコピー用紙だから、想いが通じる?
この手法のポイントは必ず対面で、営業が自分の手で納品することです。あくまでキャッシュポイントは複合機なので、コピー用紙は原価に近い価格で販売します。
A4コピー用紙1箱の重さは約10kgの重さなので、汗をかきながら運ぶ姿に「頑張ってるな」などと好意的な目を向けられることもあります。また、納品時には「トナーも扱ってますよ」「今お使いのコピー機にご不満はありませんか?」といった形で、自然に複合機の話にも展開出来ます。
【まとめ】安い用紙の仕入れルートがあれば試す価値あり
新人Gメン及川
ベテランGメン園川
新人Gメン及川
* * *
他にも「業界の実話」や「お客様が気づかないリスク」についての記事を随時更新しています。興味のある方はフォローをお願いします。