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複合機のエンジニアをしています、sakuraです。
今回はコピー機のメンテナンスに関するリモートサービスについて取り上げそうと思います。皆さんはリモートサービスを利用されていますでしょうか。このリモートサービス、導入期にはユーザーに不信感を持たれたり、反感を受けたりすることが非常に多かったのです。なので、今回皆さんの不安が解消されるよう、メーカー側にはリモートサービスがどのように見えていて、メンテナンスの現場でどのような利用のされ方をしているかご紹介します。
リモートサービスは各社のトレンド
J.D.パワーの中でも取り上げられたリモートサービス
以前、【コピー機のランキング】J.D.パワーの顧客満足度調査とは?で満足度調査が行われていることをご紹介しましたが、その中でJ.D.パワー社は、現在の市場のトレンドを解説している文書を公開しています。その中に、こんな一文があります。
◆着実に進む保守のリモート化◆
本年の調査でも、カラーコピー機における保守サービスのリモート化が益々進んでいる様子が見られた。ラージ・ミドルオフィス企業、スモールオフィス企業のどちらにおいても点検の方式が「リモート」とする回答が年々増加している傾向にあり、顧客認識の上でも保守のあり方が定期訪問からリモートにシフトしている様子がうかがえる。
引用:J.D. パワー 2018年カラーコピー機/カラーレーザープリンター顧客満足度調査
このように、J.D.パワー社の調査でも、市場におけるリモートサービスの普及が進んでいることが紹介されるほど、定着してきているのです。
なぜ複合機メーカーはリモートサービスを導入した?
ユーザーの負担を軽減したいという理由もあると思いますが、リモートサービスを各社が推進した大きな理由は、メーカー側の人件費の削減だと思われます。リモートサービスを推進することによって、どのような人件費を削減することができるのか、例を挙げてみます。
- 自動で修理の依頼がエンジニアに入る → コールセンターの人数を減らすことができる
→ コールセンターの人件費削減 - 自動でトナーの配送依頼がかかる → コールセンターでトナーの注文を受け付けなくてもよくなる
→ コールセンターの人件費削減 - 故障の予測ができ、故障が軽微な状態で修理することができる → エンジニアの稼働時間を抑制することができる
→ エンジニアの人件費削減
このように、いろいろなスタッフの人件費を削減することができるのです。表向きにはユーザーの効率向上やダウンタイム(機械の使用できない・故障している時間)の抑制のためなのですが、実際の大きな理由はここにあると私は考えます。
リモートサービスの各社の名称
リモートサービスは内容は似ているものの、各社でその名称が異なります。ここで、各社のリモートサービスの名称をご紹介しましょう。
- リコー 出力機器のリモート管理サービス「@Remote」
- キャノン NETEYE(ネットアイ)
- 富士ゼロックス EP-BB 複合機管理サービス
- コニカミノルタ CS Remote Care 遠隔診断システム
そもそも、リモートサービスができることとは?
利用されている方も多いと思いますので、「今更紹介する必要はない!」という方もいらっしゃると思いますが、「不安だから利用していない」「リモートサービスを使える最新機種を導入する予定があるため、今から知りたい」という方に向けて、軽くご紹介したいと思います。
故障の自動通知
リモートサービスの大きな売りとしては、「故障の自動通知」があります。これは、「複数回紙詰まりした」「エラーが出て機械が止まっている」などの状態を、機械が自動的に各社メーカーの保守管理システムに自動発報するものです。これにより、ユーザーが故障の連絡をする必要がなくなり、修理をする必要があればメーカーのほうから電話がかかってくるという状態になります。
消耗品の自動配送
トナーやドラムなどの複合機の消耗品の寿命が近づいた際に、機械が自動で発注をかけるというシステムです。これにより、従来電話やFAX、インターネットなどでユーザーがご自身で注文していたところを、機械が自動で注文し、なくなる頃にはオフィスに届いているという状態になります。
カウンターの自動検針
機械が何枚印刷したかを記録しているカウンターも、毎月の決まった日時に自動で機械が報告してくれるため、はがきで報告したり、メーカーの営業が訪問して記録したりという必要がなくなります。
稼働状況をまとめたレポートを作成
実はもうリモートサービスを導入しているユーザーにも馴染みがないサービスなのですが、「機械の稼働状況をまとめたレポートを作成することができる」という機能があります。これは、機械のカウンターや各機能の使用状況、エコな使い方の案内など、複合機をより便利に使うための情報をまとめた報告書を印刷することができるのです。これをユーザーなどに見せると、かなり興味を持って受け取ってくださるので、もしリモートサービスを導入しているけど、レポートを見たことがないユーザーがいらっしゃいましたら、担当の営業やエンジニアに問い合わせてみてください。
下の画像は、富士ゼロックスのリモートサービスを利用しているユーザーに提供されるレポートです。
リモートサービスを受けたらメーカーはどう動くの?
消耗品の配送依頼通知が入った時
トナーやドラムなどの配送依頼が入ると、実はエンジニアではなく、配送専門の業者に依頼が入ります。なので、「どこの顧客に、いつ、何が配送されたか」というのは、エンジニア個人では把握できません(コールセンターなどに尋ねれば知ることはできます)。方法としては、残量がわずかになると、自動で通知を発信し、配送依頼がかかります。その際、メーカーや機種によっては配送予定日が機械の画面上に載ります。
故障通知が入った時
故障通知が入った場合、コールセンターやエンジニアから確認のお電話をさせていただきます。コールセンターのスタッフから電話が入り、ユーザーから「点検してほしい」というリクエストをいただいた場合、コールセンターからエンジニアに「修理」という形で連絡が入ります。エンジニアから連絡が入る場合も、リクエストがあれば点検や修理の訪問をさせていただきます。
一方、ユーザーには実感がないものの、実は壊れているという場合もあります。その場合は、機械は止まっていなくても、ユーザーの機械の情報をまとめているシステムには、エラーがあったという通知が掲載されます。その場合は、機械は正常に稼働していても、エンジニアのほうから「故障している可能性があるので、修理の訪問をさせていただいてもよろしいですか?」という電話が入るかと思います。ユーザーからしたら少しびっくりしますよね。
では、実際にあった事例をご紹介しますね。
「紙詰まりが多発した」という通知が入った
ある日、ユーザー先の機械で紙詰まりが多発したという、機械からの自動通知が入りました。確認のためお電話すると、「手差しトレイで年賀はがきを印刷しようとしたところ、複数回紙詰まりをしてしまった。今は問題なく機械は使用できています」ということでした。手差しトレイでの年賀はがきの印刷は紙詰まりが頻繁に起きやすいため、ユーザー先に訪問し、トレイの給紙ローラーの清掃をさせていただきました。ユーザーからは「気づいてくれてありがとう」と、とても感謝されました。
ハードディスクの故障予知の通知が入った
この事例はユーザーが気づかないところで故障していて、損害を未然に防いだ事例です。
ある日届いている担当機の通知を確認していたところ、ある機械で「ハードディスクの故障予知エラー」が入っていました。コピー機の中にもパソコンと同じようにハードディスクが入っており、機種によっては「もうすぐハードディスクが壊れそうだ」という予兆を通知する機能があります。ハードディスクの中には、電話帳やスキャンの保存先のデータなどが格納されており、ハードディスクがもし壊れてしまったら、データは完全に取り出すことができなくなってしまいます。そこで、新しいハードディスクを発注し、完全に壊れてしまう前にユーザー先に訪問し、ユーザーのパソコンに電話帳などの設定を一時的に保管します。そして、ハードディスクが届き次第新しいものに交換し、データを再度パソコンから書き込むことによって、無事に交換が完了しました。
このエラーは機械のパネル上には出ないため、ユーザーが知ることはできないエラーです。エンジニアが故障通知を確認し、対処することによって、ハードディスクが本当に起動しなくなることによる損害を未然に防ぐことができました。
通知が入ったけど訪問しない場合もあります
通知が入り、現在の稼働状態はどうか確認のためにお電話させていただいていますが、中には訪問せず、電話のみで終了することもあります。例えば、「今はちゃんと動いているし、今機械を止められると迷惑だから点検はいりません」という場合です。そういう時は、「また何かございましたら、ご連絡よろしくお願いいたします」と伝えて、電話を終了させていただいています。そして、エンジニアの訪問予定のシステム画面上にある連絡待ちリストから該当の機械の情報を削除して、作業は完了となります。
【まとめ】次回の記事でリモートサービスのQ&Aをご紹介します
リモートサービスを、メーカー側からの視点でご紹介させていただきました。紹介させていただいた事例は、すべて私が担当させていただいているユーザー先で起こったものです。ハードディスクのエラーの件については、70枚機を利用している数百人規模のオフィスで発生したものでしたので、気づいた時には冷や汗をかいたものでした。データの取り出しもハードディスクの交換も間に合ってよかったです。
次回の記事では、実際にユーザーからいただいた、リモートサービスに関する質問やクレームをご紹介させていただきます。次回も引き続きよろしくお願いいたします。
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