コピー機・複合機の給紙とは?印刷するための第一歩!

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コピー機・複合機の給紙は印刷開始の初期動作

 

給紙とは?

 

給紙とは、これから印刷する1枚の用紙を本体内へ送り出す工程のことを言います。

辞書で意味を調べると「印刷できるように、プリンターに用紙をセットすること」と記載されており、一般的には印刷位置に用紙をセットする作業を給紙と呼ぶのでしょう。

しかし、今回はコピー機・複合機の給紙トレイにセットされた用紙の束から、印刷する1枚だけをピックアップして、印刷工程へ送り出すことを『給紙の工程』として説明します。

 

元コピー機メーカーの技術職 著者紹介

大手事務機メーカーのコピー機部門で約8年間、生産技術職として勤務していました。設計者と生産現場の橋渡しをする役割をしていたので、開発から生産までの幅広い知識を持っています。

給紙の工程は、非常にトラブルが多い部分の一つです。不具合の対処方法や長く使用していくためのコツなどをお伝えできればと思います。

 

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コピー機・複合機での給紙のメカニズム

人差し指や親指に指サックをはめて、用紙の束から1枚だけ擦り取るような動作を目にしたことはありませんか?

あの動作を機械に置き換えて行っているのが給紙の工程です。

また、給紙の技術は非常に複雑でシビアなので、新しい製品を開発する度に構成を変えたり、新たな技術を導入する部分ではありません。

では、具体的に給紙の動作は、どのように行われているのでしょうか?

 

用紙のピックアップ

給紙動作を行う部品の多くは、たいてい『給紙ユニット』として一つのユニットになっています。

特に、ピックアップローラー、給紙ローラー、分離ローラーが構成のメイン部品で、以下のような役割を担います

 

  • ピックアップローラー:セットされた用紙の束から先頭の1枚を引き込む
  • 給紙ローラー:引き込んだ用紙を本体へ搬送する
  • 分離ローラー:給紙ローラーの対向する位置で逆回転し、用紙の重送を防ぐ

 

ピックアップローラーは通常、用紙に触れない位置に退避しており、給紙をスタートするタイミングで回転しながら用紙に接触し、束の一番上に置かれている用紙を引き込みます。

その後、給紙ローラーへと受け渡され、用紙を次の搬送経路へと送り出そうとしますが、その対向側では分離ローラーが用紙の進行方向と逆回転して1枚以外を引き戻そうとしています。

これにより、『重送』と言って、2枚以上の用紙が重なって搬送されてしまうことを防いでいます。

ADF(自動原稿送り装置)や手差しトレイなどの給紙では、分離ローラーではなく分離パッドを利用していることが多く、いずれにしても、セットされた用紙の束から確実に1枚だけをピックアップして送ることがポイントとなります。

また、一部の高額な機種では、穴の開いたベルトコンベアのようなものが使われており、空気を吸引することで、紙をピックアップして搬送させる給紙方法が採用されています。この場合は、紙の束にエアを吹き付けて捌くことで、1枚に分離しています。

 

用紙サイズの切り替え

 

給紙とは

出典:キヤノン

 

本体には印刷する用紙をセットしておくための給紙トレイが複数設置されています。

異なる用紙サイズをセットしたり、同じサイズの用紙を多めにセットしておくなど、給紙トレイは様々な使い分けができます。

印刷する用紙サイズを変更する場合や、印刷中にトレイ内の用紙がなくなっても他の給紙トレイに同じサイズの用紙がセットされていれば、自動的に切り替えて給紙をしてくれるようになっています。

自動で切り替えるためにはコピー機・複合機の本体が、どの給紙トレイに、どのサイズの用紙が、どれだけセットされているのか?を把握しておく必要があります。

 

用紙の幅方向と後端の位置を規制する「ガイド」の位置で、用紙サイズを認識する『サイズ検知』と、用紙の枚数分の厚みで変化する高さによって残量を認識する『残量検知』が設けられているため、自動切り替えが可能になっています。

なお、最近の製品は用紙サイズを変更しても自動で認識してくれますが、古い製品は自分で用紙サイズの設定を変更しなければならないので、中古のコピー機・複合機を購入する際は注意が必要です。

 

用紙残量に応じた動作

印刷を続けていると、給紙トレイにセットした用紙は当然ながら減っていきます。しかし、給紙ユニットは一定の位置に構えており、ピックアップする動作は常に同じ場所で行われています。

 

では、どうやっているのでしょうか?
→実は、セットされている用紙の束を持ち上げています。

 

前述の『残量検知』により、検出された用紙の残量に応じて、持ち上げる高さを確定し、モーター制御によって給紙トレイの底板を、扇形に動作させています。

製品によっては、A4以下のサイズ用の給紙トレイもあり、ワイヤーで吊られた底板をリフトアップさせています。

 

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給紙の工程で起こりやすい不具合と対処法

給紙工程は印刷を開始する一番初めの動作です。

ここで不具合が発生してしまうと、印刷そのものができなくなるため、非常に重要な部分ですが、複雑で難しい技術が詰まった場所なので、どうしても不具合が多くなってしまいます。

具体的には、どのような不具合が起こりやすいのでしょうか?

原因と対処法も一緒にチェックいきましょう。

 

用紙の状態による不具合

 

用紙による不具合

 

給紙で最も多い不具合が用紙によるものです。

セットした用紙が折れ曲がっている時はもちろん、用紙の吸湿状態でも影響があります。

特に用紙の先端側が折れていると、搬送経路の部品に引っ掛かり、紙詰まりが起こる可能性があります。また、湿度の高い場所に保管されていると用紙が吸湿してしまい、分離がうまくいかず、重送や紙詰まりの原因になります。

その他には、輸入紙などをお使いの場合、紙粉にも注意が必要です。紙粉とは用紙をカットする際に発生した粉のことで、これが多いとピックアップ時や搬送時に滑りが生じて、うまく給紙できない場合があります。

このようなことにならないためにも、用紙はできるだけ高温高湿を避けて保管し、新品のものを使用するようにしましょう。

 

給紙不良

給紙動作を行っているはずなのに、用紙が給紙されない不具合です。

先ほど、使用している用紙に紙粉が多いとピックアップ動作に滑りが生じるとお伝えしましたが、ローラー側の状態によっても起こることがあります。

特にピックアップローラーが劣化し、摩耗が激しくなってしまうと、用紙との摩擦力が低下してしまい、滑ってしまう可能性が高くなります。そうなると「機械の動作は正常に行われているのに紙が所定の位置に来ていない」というエラーを起こします。

摩耗が進んでしまうと新品と交換するしかありませんが、ピックアップローラーが紙粉で汚れていても摩擦力は落ちてしまうので、交換の前に説明書などにしたがって、ピックアップローラーの清掃を行ってみましょう。

汚れが原因であれば、清掃で解決します。

 

重送

用紙が吸湿してしまうと、紙同士がくっついて、重送を起こしてしまうことがあります。

また、逆に乾燥が強い状態だと、静電気によって同様の現象が起こる場合があります。用紙の保管状態に気を付け、乾燥している場合(冬や24時間エアコンを使っている職場など)は、用紙の束をさばいてから給紙トレイにセットすることも重送を防ぐコツの1つです。

たとえ用紙に問題がない場合でも、用紙分離パッドや分離ローラーの劣化、圧力をかけているバネや周辺部品の不良などによって、重送が起きてしまう場合があります。

重送を防ぐための部品構成は、とても繊細なバランスで成り立っています。

原因が用紙でも部品でも、100%再現させることはほぼ不可能なので、原因の切り分けが難しいかもしれません。

重送が起きたら、まずは用紙の状態を確認してみて、それでも続くようであれば、販売店や保守の業者に連絡をして、点検や修理をお願いし、場合によっては給紙ユニットを交換してもらいましょう。

なお、キヤノンの「iR-ADV DXシリーズ」など一部の製品には、原稿が2枚重なっていないか?を、超音波センサーで高精度に判断し、重送を検知する『重送検知機能』が搭載されています。

 

▼キャノンiR-ADV DX C7700 ⁄ C5700 ⁄ C3700シリーズの特徴・リース価格は?

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紙詰まり

セットした用紙にシワや折れがあると、給紙ユニットから次の搬送部への受け渡す際に引っ掛かりなどが起こり、紙詰まりになってしまう場合があります。

その他に、分離ローラーが加圧できておらず、用紙が搬送経路から外れて、紙詰まりを起こしてしまうこともあります。

原因が用紙でも、本体側でも、紙詰まりは給紙ユニットと次の搬送部との受け渡しの間で起こる可能性が高いため、対処を行う場合は注意が必要です。

無理に引き抜いてしまうと他の場所に強い負荷が掛かり二次災害が起きてしまうので、給紙部で紙詰まりが発生し、通常の力で給紙トレイを開閉できない状態の場合は、他の場所からアクセスして、詰まった紙を取り除くことができないか?を確認しましょう。

また、給紙部や用紙の搬送経路には、紙が通過したか?を検知するセンサーが設けられており、正しいタイミングで紙が通らなかったり、抜けているタイミングでも紙が通過していないと紙詰まりとしてエラーを起こします。

紙が詰まっていなくても紙詰まりエラーが発生する場合は、センサー自体もしくはセンサー周辺に不具合が起きていることがあるので、販売店や保守担当者に確認してもらいましょう。

 

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気を付けたい給紙のポイント

給紙部は特に繊細な場所なので、扱いには十分な注意が必要です。特に、以下の点には気を付けましょう。

 

使用する用紙の状態

用紙は高温高湿を避けた場所に保管しましょう。

用紙の保管場所が高温高湿だと、カール(湾曲)して紙詰まりが起きやすくなります。また、分離ができず重送してしまったり、給紙の動作に問題が生じる可能性が高くなります。

 

給紙トレイの開閉

給紙トレイの開閉は、無理な力や勢いをかけず、静かに行いましょう。

給紙トレイの近傍には、用紙のピックアップを行う給紙ユニットが配置されています。製品によって異なりますが、給紙トレイを本体にセットすることで、給紙ユニット内にある分離ローラーを加圧させている場合があります。

開閉動作を乱暴にしてしまうと、関連部品が破損してしまい、給紙動作がうまくいかなくなってしまうこともあるので、静かに開閉しましょう。

 

 

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まとめ

  • 給紙は印刷を開始するための初期動作
  • 給紙ユニットはピックアップローラー・給紙ローラー・分離ローラーをメインに構成されている
  • セットされた用紙の束から確実に1枚だけに分離して搬送することが技術のポイント
  • セットされた用紙に基づいてサイズや残量が検知され、それに応じた制御がされる
  • 給紙で多い不具合は用紙の状態不良によるものだが、周辺の部品も壊れやすいので扱いには注意が必要

 

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