【キヤノンが首位獲得!】J.D.パワー2019年度の複合機ランキングを検証!【前編】

  • 公開日:2019年08月06日
  • 複合機情報
【キヤノンが首位獲得!】J.D.パワー2019年度の複合機ランキングを検証!【前編】

ベテランGメン園川

こ、これは……!とんでもないビッグニュースですよ!
ん?どないしたん?

新人Gメン及川

ベテランGメン園川

とにかく、これを見てください!今年のJ.D.パワーのランキングが……!
ほう……これは下剋上というやつやな?

新人Gメン及川

 

複合機のエンジニアをしております、sakuraといいます。

以前、複合機メーカーが重要視しているランキング、J.D.パワーの顧客満足度調査についてご紹介しました。

 

【コピー機のランキング】J.D.パワーの顧客満足度調査とは?

この調査の最新版である2019年度版のランキングが、2019年7月末に発表されました。そのランキングは、複合機に関する情報を検証している私たちにとって、とても衝撃的なものでした。今回は、そのランキングの詳細と、ランキングに影響を与えた市場の傾向を、前後編に分けて検証していきます。

 

 

2019年度版のJ.D.パワーのランキングが発表!

キャノンがラージ&ミドルオフィス部門で初の1位を獲得!

従業員数30名以上の企業を対象とした「ラージ&ミドルオフィス部門」で、キャノンがJ.D.パワー社が2003年に調査が開始して以来初の総合満足度第1位を獲得しました!キャノンは、従業員数5名以上30名未満の企業を対象とした「スモールオフィス市場部門」でも4年連続の1位を獲得しており、2つの部門でのトップを同時受賞という素晴らしい結果になりました。

ゼロックスが首位陥落……

一方、「ラージ&ミドルオフィス部門」で8年連続だったトップの座から陥落したのは富士ゼロックスです。「スモールオフィス市場部門」でも、前年の2位から3位に順位が下がっており、富士ゼロックスは今年度なにが起こったのか、残念な結果になってしまいました。

富士ゼロックスの立場から検証した今回のランキングについては、次回の記事でご紹介します。

点数が拮抗する中、キャノンがトップスコアを獲得したのは「営業・導入対応」

各社、順位はついたものの、「ラージ&ミドルオフィス部門」では、1000ポイント満点のうち、キャノンが667ポイント、富士ゼロックスが664ポイント、リコーが663ポイントと、点数は非常に拮抗しています。このポイントは、「商品」「保守サービス」「コスト」「営業・導入対応」という4つの分野で構成されており、このうちキャノンは「営業・導入対応」でトップスコアを獲得したとあります。

<ラージ&ミドルオフィス市場部門>※従業員数30名以上企業市場

第1位:キャノン  (667ポイント)

2003年当調査開始以来初の総合満足度第1位。「営業・導入対応」ファクターで最高評価。  

第2位:富士ゼロックス (664ポイント)  

第3位:リコー(663ポイント) 

引用:2019年カラーコピー機顧客満足度調査、カラーレーザープリンター顧客満足度調査 | J.D. Power

つまり、キャノンは「営業・導入対応」しかトップスコアではなかったということなのです。他の点数は各社拮抗していると思われる中、キャノンがトップを獲得した理由には、この「営業・導入対応」というファクターが関わっているのではないかと私は考えます。そこで、今の時代に求められる複合機メーカーの営業とは何かという面から、今回の顧客満足度調査を分析していきたいと思います。

 

「リモート化」と「営業」という相反するファクター

リモート化=会わない化

以前、複合機をリモートで監視するサービス、通称複合機のリモート化が各社のトレンドであるということについて記事にさせていただきました。

【リモートサービスって不安!?】現役エンジニアが複合機のリモートサービスを徹底解説!【紹介編】

リモート化することによるメリットは沢山あることをお伝えさせていただきました。例えば、自動で故障を検知して教えてくれたり、自動でトナーを発注してくれたり、機械が自動で何でもしてしまう時代になりました。中には、トラブルが発生しても、コールセンターのスタッフが解消方法を案内して、エンジニアが訪問することなくトラブルが解決することも増えてきました。それによって起こるのが、「会わない化」なのです。

会わない化」とは、ユーザーと複合機メーカーのスタッフ、つまり営業やエンジニアと会う必要がなくなることを言います。以前は、トナーがなくなったら担当の営業に電話して持ってきてもらうということもありました。しかし、今では機械とシステムがトナーの在庫を管理して、自動で発注をしてくれます。エンジニアも、故障を電話で解決したり、定期点検をしなくなることによって、訪問する頻度が減るようになりました。これにより、ユーザーと複合機を営業やエンジニアが繋いでいた状態が、ユーザーと複合機だけで完結する関係性が構築されるようになりました。もはや、複合機を使うために、複合機メーカーのスタッフはいらないのです。

 

会わない化によって、営業は訪問する口実がなくなる

では、複合機メーカーの営業はいつ、どんな用事でユーザー先を訪問する必要になると思いますでしょうか。それは、機械を買い替える時です。これはリモートではできません。でも、滅多に顔を出さず、来たと思ったら売りつけに来る営業を、皆さんは信用できますか?

以前は、トナーを1本運ぶために訪問したり、印刷する紙をお渡しするために訪問したり、そういう小さい用事で少しずつユーザーとの関係性を築いていました。しかし、リモート化してしまうことによって、営業の出番はどんどんなくなっていっています。営業さんによっては、エンジニアに修理の依頼が入った時に、「そのユーザー先、最近行っていないから一緒に行く!」と言って、エンジニアの訪問についてくる人も中にはいます。ですが、その修理依頼さえ減っている現状です。営業は、ユーザーとの接点を持つことに苦労しつつ、売り上げを上げなくてはいけないというジレンマの中で日々活動しているのです。

 

なぜ「営業・導入対応」トップスコアのキャノンが1位を獲得したのか

では、なぜ「営業・導入対応」という、今の時代の複合機メーカーで難しい立ち位置にあると思われるファクターで、キャノンが1位を取ることができたのでしょうか。

キャノンさんの営業方針の詳しい事情はわかりませんが、ヒントとなると思われる文章が、2018年度のJ.D.パワー社の顧客満足度調査のレポートにあります。

リモート点検方式の場合、「月1回以上」や「2~3か月に1回」といった定期訪問による点検方式と比べ、CE等の保守サービス担当者との接点が減少することから、保守サービスに対する満足度は低くなる傾向にある。メーカー各社にとっては、いかにサービス品質や顧客満足度を落とさずにリモート保守への移行を促進していけるかが肝となっている。

引用:J.D. パワー 2018年カラーコピー機/カラーレーザープリンター顧客満足度調査 | J.D. Power

つまり、接点が減少すると、満足度も低くなるという傾向があるというのです。営業に関しても、ユーザーは過度な訪問も、ほったらかしも求めておらず、適度に接点を持ち続けることが重要であるということが言えるのではないでしょうか。キャノンは「ラージ&ミドルオフィス部門」でも「スモールオフィス部門」でも「営業・導入対応」ではトップスコアを獲得しており、その営業方針はとても気になるところですね。

 

 

【まとめ】世間は営業に対して厳しい、だからこそ強みになる

今回記事を作っている時に、こんなツイートを見つけました。

世間でのコピー機の営業も、こんな商売をしているイメージが強いですよね。すぐに値引きをする、ひたすら電話をかける、とにかく突撃訪問する……社内にいる私ですら営業にそういうイメージを持っているんですから、世間ではもっと厳しい目で見られているということは容易に想像できます。

こんな厳しい環境の中で、いかに相手に好感を持たれる営業活動をするということは、とても難しいことですよね。そんな中で、「営業・導入対応」のスコアがトップだったキャノンさんは、他社とは違う、とても大きな強みを持っているということが言えそうです。

さて、次回は残念ながらラージ&ミドルオフィス部門で2位に後退してしまった富士ゼロックスの現状について検証していきたいと思います。お楽しみに!

 

(後編はこちらからどうぞ)

 

 

 

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