ベテランGメン園川
新人Gメン及川
ベテランGメン園川
新人Gメン及川
複合機のエンジニアをしております、sakuraです。
今回は、前回の記事【キャノンが首位獲得!】J.D.パワー2019年度の複合機ランキングを検証!【前編】に引き続き、J.D.パワーの2019年度版顧客満足度調査の検証をしていきたいと思います。
前回はキャノンがラージ&ミドルオフィス部門で初めて首位を獲得し、その中で「営業・導入対応」でトップスコアを獲得したことに着目し、複合機メーカーの営業の現状について検証してみました。その一方で気になるのが、ラージ&ミドルオフィス部門で8年連続だった首位の座をキャノンに奪われた富士ゼロックス。一体何が原因でこのような事態になったのでしょうか。今回は、富士ゼロックスの内部事情に詳しいYさんと私sakuraが、富士ゼロックスが2位に陥落したことについてやり取りしたものをご紹介したいと思います。
品質問題
Yさんがまず挙げたのは、Ⅵシリーズの品質に対する評価でした。出てきた技術の用語などについて解説していきますね。ウォームアップタイムとは、機械の電源を入れてから印刷をすることができる状態になるまでの時間のことを言い、ファーストコピータイムは、印刷のスタートボタンを押してから、印刷を実際に開始するまでの時間のことを言います。
コピー機のファーストコピータイムとは?【7~8秒が目安だが環境にも影響】
【印刷の速度に大きな影響】コピー機のウォームアップタイムとは?
これを短くすることは、時短や電力の省電力化の効果があるため、開発はそのために様々な工夫をしながら設計をしています。その工夫のひとつが、トナーの改良です。より低い温度、つまりより少ない電力で紙に定着させることができるトナーを開発すれば、時短や省電力化に繋がるのです。その一方で発生したのが、紙詰まりと画質の劣化です。紙詰まりは、定着ユニットにトナーが貼りつくことによって紙が定着ユニットにからみつき発生するものと考えられます。また、トナーが原因の汚れも発生しやすくなります。
これらのトラブルが、入れたばかりの新品の機械に発生したとしたら、ユーザーの満足度は低下し、顧客満足度調査に影響を与えることは想像できますね。
営業部門の構造改革
ユーザーにとって、馴染みの営業が変わるということは、今まで自社のことをよく知ってくれていた理解者が変わるということになります。私の周りでも、営業が異動になったりすることはよくありますが、その度にユーザーの理解を得たり、不信感を取り除いたりすることは、異動が発生する度に苦労する点でもあります。
ゼロックス本体のほうで営業部門の配置転換が行われたということは、大手のユーザー全体で担当者が変わったりしたということになり、満足度を高める要素にはならなかったと推測できます。
Ⅶシリーズの評価
しかし、古くからのユーザーにとっては、ついにスマホライクなUIになってきて、短縮ダイヤルがなくなったりしたことでFAXメインの会社等で不評な点もあるみたいです。もともと他社機にはなかったので良い差別化だったのですが……。
富士ゼロックスの企業体質として、自社のいいところを捨てて他社の真似をするところがあるので(社員の会話の中でよく聞かれます)、せっかくの短縮ダイヤルがなくなってしまったことには、残念というか、落胆というか、そういう印象を持ちますね。使わない人は使わない機能なのですが、使っているユーザーは本当に愛用してくれている機能なんです。
最新のⅦシリーズについては、下記の記事を参考にしてみてください。
【人気のコピー機を徹底解剖】富士ゼロックスApeosPort / DocuCentre-VII C2273/3373/4473シリーズ
今後は?
Yさんの今後の予想は、評価の回復が見込めるとのことでした。確かに、富士ゼロックスは前年度は4つのファクター(商品、保守サービス、営業・導入対応、コスト)のうち、「商品」でトップスコアを獲得し、順位で1位となっていましたので、商品の競争力が上がることは、満足度の向上に繋がりそうですね。
【まとめ】士気を高めて、王座奪還を目指してほしい
以前のJ.D.パワーの記事で、社内の士気を高めるために、J.D.パワーのランキングは使われているという話をさせていただきました。そのため、今回のランクダウンの速報を聞いて、富士ゼロックスの社内の雰囲気が心配になってしまいました。元々品質が高いことに定評がある同社なので、2位に甘んじることなく、来年は是非王座奪還を目指してほしいですね。