【親会社と子会社の関係】富士ゼロックスとゼロックス東京など販社の微妙な立ち位置

【親会社と子会社の関係】富士ゼロックスとゼロックス東京など販社の微妙な立ち位置
いやー、歴史って奥深いなぁ

新人Gメン及川

ベテランGメン園川

真面目な顔して。急にどうしたんですか?
歴史を学んだら、俺も優秀な人間になれるかな~思ってな……

新人Gメン及川

ベテランGメン園川

そうですか、それはいい心がけですね。それじゃあ、富士ゼロックスの企業の歴史も学んでみましょう

 

 

複合機のエンジニアをしています、sakuraです。

プロフィールにある通り、私は富士ゼロックスの販社に関わるところにいる人です。リコーやキャノンなど、他の会社がどうなのかは詳しくは知りませんが、富士ゼロックスの会社としての構造についてはいろいろ話を聞いています。今回は、この記事を読んでくださる皆さんのために、富士ゼロックスがどういう成り立ちで今の会社になったのかをお伝えしたいと思います。

 

 

【本体?販社?】ゼロックスの会社の仕組みについて

 

富士ゼロックス株式会社は、富士写真フイルム株式会社(富士フイルムホールディングス)とイギリスの現地法人であるランク・ゼロックス(ゼロックス・リミテッド)社との合弁会社として1962年に誕生した会社です。現在は富士フイルムホールディングスのグループ会社です。

グループ会社なのですが、富士フイルムと富士ゼロックス自体はそんなに繋がりがありません。富士ゼロックスの販社の社員から見たら、たまにカメラを安く買えたり、アスタリフトが買えたり……その程度です。

 

アスタリフトは富士フイルムの化粧品です

 

会社の成り立ちと共に重要なのが、富士ゼロックス株式会社と富士ゼロックス〇〇株式会社という、本体と販社の繋がりです。本体とは富士ゼロックス株式会社のことで、販社とはほぼ各都道府県にある販売会社のことです。この〇〇には、それぞれの都道府県が入ります(富士ゼロックス東京、富士ゼロックス大阪など)。一部の都道府県では特約店さんが業務を行っています。

つまり、富士ゼロックス株式会社に各都道府県ごとの支社があるのではなく、販売を行うための株式会社があって、それぞれに経営を行っているということなんです。本体と販社でどういう関係性があるのか、営業とエンジニアに分けて説明していきますね。

 

 

【営業編】同じ都道府県の中に2種類の営業がいる不思議

富士ゼロックス株式会社と富士ゼロックス○○株式会社という、本体と販社という二種類の会社があるということがわかりました。では、ユーザーに複合機を売る人、つまり営業さんはどちらにいると思いますでしょうか。正解は、「どちらにもいる」です。

富士ゼロックス本体のほうが超大手企業や国立大学、官公庁などを担当し、それ以外を販社が担当するという「分業」をしていると聞いています。そのため、各都道府県で営業活動をしている営業さんは、同じ富士ゼロックスでも2社いるというわけなんです。その一方、活動範囲が異なるため、交流はそんなにないと聞いたことがあります。

 

 

【エンジニア編】エンジニアは全員販社所属

営業と同じように、エンジニアも本体と販社にそれそれ在籍していて、それぞれの営業が担当しているユーザー先の修理を担当していました。しかし、2006年秋にすべてのエンジニアが販社に所属することになりました。つまり、富士ゼロックス本体のエンジニアは、販社に転籍することになったんです。

10月1日に営業職と保守サービスを担当する全カストマー・エンジニア計2700名を富士ゼロックスから販売会社に投入するとともに、国内で稼動する複写機・複合機の約8割を販売会社が担当する体制に移行させます。そして地域に密着した経営のもとで営業・保守が一体となって機動性を活かしたサービス営業を展開することで、「新しい販売会社」に進化することを目指します。

引用:サービス事業の加速に向けて国内営業体制を一新 富士ゼロックス株式会社

 

これにより、各都道府県の販社である富士ゼロックス○○株式会社には、元々販社の所属だったエンジニアと、富士ゼロックス株式会社の本体に入社したはずなのに富士ゼロックス○○株式会社に転籍になってしまったエンジニアが、混ざって同じ現場で仕事をするようになったのです。

今でこそ違和感は薄れていますが、当時の違和感やコミュニケーションの大変さは想像できますよね。実際に元々販社所属だったエンジニアの先輩から聞いた話ですが、「今でも本体から来たエンジニアと、元々販社だったエンジニアの間で給料や待遇に差があるのではないかと不審に思っている」と暴露をされたことがあります。

本当のところどうなのかは、私も統合後の入社のため、真相は定かではありません。

 

 

【本体の営業vs.販社のエンジニア編】

私の担当は中小企業が多いため、本体の営業さんが担当しているユーザーのところに訪問することは滅多にありません。でも、本体の営業の依頼で機械の設置などに動くこともあります。例えば、東京に営業がいるけど各地方にもある各種裁判所などがそうです。本体の営業さんが担当しているような大規模な会社や官公庁、国立大学などを担当している販社のエンジニアさんは、本体の営業さんとも密に連絡を取り合って業務を行っていると聞いたことがあります。

複合機サービス担当のセールス裏話で記載しましたが、本体の営業範囲ではエンジニアの売り上げ貢献はできません。例えば、入札で台数や機種が決まってしまうようなところだと、ユーザーの現場から「あれが欲しい」と言われても、現場に決定権がないため応えることができないんです。「こういう要望がありました」と記録に残して営業さんに伝えるくらいしか、販社のエンジニアにできることはありません。

 

 

【余談】新卒研修で劣等感編

じゃあ、富士ゼロックス株式会社と富士ゼロックス○○株式会社が交流することはないの?」と思われるかもしれません。実際、普段仕事をしていると滅多にありません。エンジニアとして仕事をしていて、どうしても解決できないトラブルがあったとしても、問い合わせのエスカレーションがあるので直接富士ゼロックス株式会社に問い合わせることもありません。

じゃあ、いつ交流があるのかと言うと、一番最初の最初である「新卒研修」です。富士ゼロックス株式会社や各販社、様々な関連会社も含め総勢数百人の新入社員が集まっての新卒研修が行われます。その研修でグループが作られるわけですが、様々な会社が入り乱れて作られるのですが、私のエンジニアの同期は、作られたチームが皆本体や関連会社所属の有名な大学出身で、ディスカッションをしていた際に、あるチームメイトから「大丈夫?私たちの話していること、理解できている?」と聞かれ、「馬鹿にされた!」と研修後にとても憤慨していた記憶があります。

私も、偶然仲良くなった女の子が新入社員で唯一TOEIC満点を持っている才女と後で知り、戦慄した記憶があります。

東京という土地で大手企業に入社したエリートと、地方で汗を流しながら頑張るエンジニア……各々劣等感を持って帰っていくという、切ない新卒研修でした(笑)。

 

 

【まとめ】大きい会社ゆえ、構造が難しいです

のような構造の難しさや本体と販社の立場の違いなんかは、おそらく大きい企業だとどこでもあるのかなと思います。特に、全グループ会社一斉に行われる新卒研修なんかは、どんな企業でもあり得ることだろうと思いますし、もしこれを読んでいる人の中で学生さんがいれば、「ああ、こういう経験をするんだな」と勉強になるかもしれませんね。

 

 

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