【コピー機・複合機の定着ユニットとは?】印刷を仕上げる最後の砦!

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コピー機・複合機の定着ユニットとは?

 

定着ユニット

出典:OKIデータ

 

コピーなどを行った際に、印刷物が熱を帯びていることに気付いたことはありませんか?

用紙が熱を帯びている原因は、印刷の最終仕上げで「定着」と呼ばれる熱を加える工程を経ているからです。定着とはトナーを紙に固定させることで、紙に乗っているだけのトナーを熱と圧力によって融着させます。

今回は、印刷工程の最後の砦であり、画質にも影響を与えている「定着ユニット」について、理解を深めていきましょう。

 

元コピー機メーカーの技術職 著者紹介

大手事務機メーカーのコピー機部門で、生産技術職として約8年勤務していました。本体の生産ライン立ち上げなど生産技術系の仕事で様々な問題を検討してきたので、コピー機・複合機に関する幅広い知識を持っております。

「定着ユニット」はトラブルの多い場所です!不具合が起きた際などの参考にして頂ければ幸いです。

 

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定着のメカニズムを知ろう!

定着ユニットのことを知るためには、定着のメカニズムを知っておくことが大切です。

まずは『印刷の仕組み』と『定着ユニットの仕組み』について説明します。

 

印刷の仕組み

 

印刷の仕組み

 

原稿を読み取ったり、データを出力したものが用紙へ印刷されるまでの流れを、最初にお伝えします。

コピー機・複合機では「トナー」と言う粒状の樹脂を静電気の力で用紙へ運び、熱と圧力で定着させて印刷物が完成します。トナーは粉のようなもので、乗せただけでは簡単に剥がれてしまうために、用紙にしっかりと固着させる『定着』の工程が重要です。

まずは、印刷工程の一連の流れを簡単に説明します。

 

  1. 帯電:ドラム表面全体を均一に帯電させる
  2. 露光: 出力された画像や文字の通りに光を当て、ドラム表面内に電荷の差を発生させる
  3. 現像: 電荷の差によって、光が当たった部分にのみトナーが吸い寄せられドラムに像が描かれる
  4. 転写:トナーによって描かれた像を紙へ直接転写する、または転写ベルトに1度移してから紙へ転写する
  5. 定着: 紙に乗せられたトナーに熱と圧力を加えて定着させる

 

このように、定着は印刷工程の最終仕上げを行います。

熱が加えられた用紙は、かなりの高温になるため、空冷されながら排紙トレイへ排出されていきます。高速機などでは、ファンによって冷却するタイプもあります。

また、写真の印刷などでは、いかに光沢を出せるか?が定着工程の大きなポイントになります。

トナーは粒状のため、定着前の段階では基本的に用紙の上で凹凸があり、光を乱反射させます。定着工程でそれを平滑化し、更にオイルも付与することで、高光沢の画質に仕上げることができます。

 

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定着ユニットの仕組み

 

定着ユニット

出典:Amazon

 

定着工程では、トナーを加熱しながら押し付けることで用紙へ融着させます。

多くの製品で採用されている基本的な構成としては、定着ローラーもしくは定着ベルトを加熱し、対向する位置に加圧ローラーもしくは加圧ベルトが設置されています。

常に最適な温度で加熱しなければならないのですが、用紙が通過することで熱が奪われてしまうので、どれだけ効率を落とさずに定着できるか?が重要な要素となります。

 

定着ローラーとヒーター加熱

一般的に採用されている構成は、定着ローラーと加圧ローラの2対によるもので、定着ローラーの内側にヒーターを設置して加熱する方式です。

定着ローラーには、接触面積を確保するために、ゴムなど弾性体の層を設けています。

そのため、定着ローラーにある程度の厚みが必要で、熱伝導率が悪くなるため、印刷開始可能となるまでの時間(ウォームアップタイム)が大きくなってしまうデメリットがあります。

しかし、現在はデメリットを解消すべく、加熱部の定着ローラーを薄肉化して、対向する加圧側をスポンジローラーにしたり、加熱部をローラーではなくフィルムにするなど、接触面積を増やして熱伝導率を高めた様々な方式が増えています。

 

定着ベルトとIH加熱

カラーの場合は、トナーを重ね合わせているため、モノクロよりも大きな熱量が必要で、カラー機の普及と高速・高画質化に伴い、熱効率を高くして接触面積も大きくさせる方式が増えてきました。

その筆頭と言える方式がIH(電磁誘導加熱)方式による加熱です。

ヒーター加熱ではヒーターが発熱して定着ローラーなどへ熱を伝達させていましたが、IH加熱では磁力で定着ローラー自体を発熱させます。

それにより、熱伝達の損失が少なく、短い時間で高い熱量を発生させることができます。この方式を採用することにより、ウォームアップタイムが従来の半分以上も短縮可能になっています。

構成としては、IHコイルと言う加熱源を、定着ローラーの内側に設けたものと外側に設けたものがあります。

また、定着ローラのように円筒型ではなく、ベルト状にした方式も増えています。

こちらの構成としては、何本かの小径のローラーでベルトを回転させて、定着部は別な部材で加圧します。これにより、ローラーだと接触面積を確保するためにそれなりの外径を必要としますが、ユニットのサイズを大きくすることなく、定着部の接触面積を確保することができます。

 

用紙巻き付きを防止する分離爪

定着部では高温に加熱されたローラーやベルトの間を用紙が通るため、加熱された用紙はローラーなどに巻き付きやすくなっています。特に薄紙の場合はリスクが高まります。

そこで、定着後の用紙が定着ローラーに巻き付いてしまわないように、定着部の直後にローラーなどと用紙を分離させる『爪』が取り付けられています。

基本的には定着ローラーに軽く接触するように取り付けられており、部品単品や部品の位置関係にとてもシビアな構成をしています。

 

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定着ユニットが原因の不具合

定着の工程では、ユニット内が高温になり、高い圧力を掛けられます。制御がとても難しい場所なので、定着ユニットが起因で不具合が起きた場合は、メンテナンス業者へ連絡を入れて対応をお願いすることになります。

ただし、発生する画像不良や紙詰まりは特徴的なため、要因の特定はしやすいでしょう。

定着の工程でどのような不具合が起こり得るのか?定着ユニットが起因なのか?など、簡単な見極めの方法とともに幾つかの不具合例を紹介します。

 

定着不良

出力された印刷物に触れた時に、トナーが手についてしまったり、擦り取られてしまったりすることがあります。これは、明らかに定着ができていない状態なので、定着の工程で何らかの問題が発生しています。

主な原因は以下の2つです。

 

  1. 使用している用紙種類の設定が間違っている
  2. トナーが利用中のコピー機・複合機に対応しているものではない

 

稀に、定着の加熱源などユニット内で不具合が起きている場合もあります。用紙設定などを見直して問題がなければ、メンテナンス業者に連絡をして定着器を交換しましょう。

 

ゴースト(残像)

印刷された画像や文字が、本来は印刷されない場所に残像としてボヤけたように印刷されてしまう現象です。

これは、本来の画像の場所で完全に定着しきれず、定着ローラーにトナーが一部移動してしまうことで表れます。この場合、本来の画像とゴースト画像のピッチが、定着ローラー径と同等に出現するので分かりやすいでしょう。

加熱温度の問題や定着ローラーの劣化によることが原因ですが、製品によっては、このような画像不良が発生した際に、定着温度を調整する機能を設けているものもあります。

 

紙しわ

紙しわは、排出された用紙の一部、特に後端側にシワが寄ってしまう現象です。

定着ユニットでは、かなり強い圧力が掛けられ、さらに定着性を上げるために接触面積を大きめに取り、回転しながら用紙を搬送しています。

そのため、ユニット内で送り速度に僅かな差が生じてしまい、それが原因で後端にしわ寄せが来て、紙が折れ曲がってしまうことがあります。

また、定着部へ用紙を案内する搬送ガイド部品の変形などで、用紙の進行方向にズレが生じ、しわができることもあります。

いずれにしても、紙しわの場合は原因の切り分けは難しく、ユーザーで定着ユニットを交換できる製品であれば、交換をしてみて、現象が定着ユニット起因なのか?を確認してみましょう。

 

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紙詰まり

前述したように、定着部では熱と圧力により、紙がローラーに巻き付きやすく、分離爪と呼ばれる部品でローラーから紙を引き離しています。この分離がうまく機能しないと、用紙がユニット内で滞留し、紙詰まりを引き起こします。

この場合は、定着ユニット内にジャバラ状に紙詰まりしているはずなので、すぐに分かるでしょう。

原因としては、何らかの理由で分離爪の位置が定着ローラーから離れてしまっていることが考えられます。基本的には定着ユニットを交換すれば解決します。

 

スジのような縦線

分離爪は紙を引き離すために、定着ローラーに接触させています。

分離爪単体にキズや変形があったり、爪の位置がズレて接触が強くなっていると、定着ローラーに傷をつけてしまい、印刷方向と平行(縦方向)に線が入ってしまうことがあります。

この場合は、たいてい分離爪の幅と同等の線が入っているので、すぐに分かるでしょう。使用中に突然起きるような不具合ではありませんが、発生した場合は定着ユニットを交換することで対処できます。

 

定着ローラーピッチの画像不良

印刷物に等間隔の横線や点などが表れた場合、どこかのローラー外径のピッチになっているはずです。

定着ユニット起因の場合は、定着ローラーのピッチで現れますが、ローラー径は製品によって様々なので、メーカーや販売店に確認してみましょう。

定着ローラーピッチの場合は、定着ユニット交換で対応できます。

 

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定着ユニットの寿命

定着ユニットは、定期交換部品として設定されています。

寿命はメーカーや製品によって違いますが、A4用紙の片面印刷で5万枚~10万枚程度と言われています。

製品によって『ユーザー自身で交換ができるもの』と『業者で交換するもの』があり、交換が必要な時期になると、コピー機の本体上で「定着ユニットを交換してください」とアラームが表示されます。

このような文言が表示された際は、なるべく早めに交換をしましょう。なお、印刷直後の定着ユニットはかなり高温になっているので、交換の際はヤケド等に注意しましょう。

 

定着ユニットの価格

定着ユニットの価格は3万円~5万円程度と製品によって差があり、高いものでは10万円以上します。

製品の本体価格が安いからと、カウンター枚数の多い中古製品を安易に購入してしまうと、修理代が高くついてしまう場合もあるので注意が必要です。

また、保守契約の内容によっては、無償で交換対応を行ってくれることもあるので、定期交換が必要な部品の価格と保守費用をしっかり確認して契約しましょう。

 

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まとめ

 

  • 定着ユニットは紙に乗せたトナーを、熱と圧力で融着させるもの
  • 印刷物が熱を帯びている理由は、高温に加熱したローラーなどでトナーを用紙に押し付けているため
  • 定着方式にはローラーやベルト、加熱方式にはヒーターやIHなど、メーカーや製品によって違いがある
  • 定着ユニットが劣化していると画像不良や紙詰まりを起こすが、定着起因の場合は要因が特定しやすい
  • 定着ユニットの寿命は3~5万枚程度。高額のため製品購入の際は保守契約などをしっかりと確認しよう

 

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