リコー最大の強みであるコピー機市場の縮小
業務用のコピー機がこの世に誕生してから50年以上が経過し、複合機はありふれた製品の一つになりました。いわゆる汎用品(コモディティ)になった商品は差別化ができず、
「同じような商品なら安い方を買う」
というユーザが大半となる市場が形成され、コピー機の販売会社はかつてより利益を出しにくくなりました。2009年頃にシャープがコピー機にプラズマクラスターを設置した頃には、コピー機に付加されるべき新しい機能は出尽くしていたと言えるでしょう。
「世の中には2種類のコピー機がいる。プラズマクラスターを出すヤツと、出さないヤツだ」 pic.twitter.com/umWTc0uo0u
— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) January 14, 2015
オペレーター 杏奈
新人Gメン及川
かつてはドル箱と言われたコピー機が儲からなくなった以上、コピー機各社はコピー機への売上・利益の依存度を下げる必要が出てきました。
リコーの売上の半分以上が業務用コピー機関連
リコーの2019年度決算資料によると、リコーの売上に占める業務用のコピー機の比率は54%程度となっています。
【引用】2019年度リコー決算資料
ベテランGメン園川
業務用コピー機は上記の「オフィスプリンティング分野」に含まれるため数字上は54%となっていますが、実態はもう少し大きいと見た方が良いでしょう。この54%という数字にドキュメント関連のシステムは含まれていませんが、実態としてはコピー機とセットで利用される商品なので、実態としては「オフィスプリンティング分野」に含めた方が自然な項目でしょう。
ちなみに、リコーは事業セグメントを2018年に新しくしていますが、「ドキュメント関連サービス・ソリューション」というカテゴリをコピー機カテゴリからITカテゴリ(オフィスサービス分野)に引っ越しています。
【引用】リコー決算資料
実態に照らしてセグメントを変えたというのが建前ですが、コピー機依存度を株主に小さく見せたかったというのが本音ではないでしょうか。
コピー機依存度は徐々に改善
「リコーのコピー機を使ってくれている顧客に別の商材を買ってもらう」という戦略は、10年以上前からリコー含めたコピー機各社が取り組んできた戦略です。しかし経営者や企画部の思惑通りに他商材の売上は伸びて来ませんでした。
- コピー機が売れるから、現場は別商材を売ろうとしない
- ハードウェアは売りやすいが、利幅が取れない
- ソフトウェアは利幅が取れるが、営業が難しい
- ①が原因でコピー機各社は営業力が高くない
新人Gメン及川
2010年代まで、ITサービスの売上利益を順調に伸ばしてこられなかった原因は上記4点だと私は見ており、2020年以降もこの傾向はある程度続くのでは無いかと見ています。
一方で2019年の決算数値を見てみると、コピー機が占める売上比率は2018年の55.4%から54.0%に下がり、ITサービスの比率は21.7%から23.9%に増加しています。また、ITサービスは前年比で売上比率7.5%・金額で334億円増加しています。
【まとめ】リコーの業績展望
- コピー機は利益が出にくい商品になった
- リコーの売上の半分はコピー機
- コピー機依存度を下げる戦略はうまく行っていなかった
- 2019年度は狙い通り。今後も継続できるかがポイント
ベテランGメン園川